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「悪いな、カイ。ここの奴らはおかしなのが多くて」 「いえ、そんな。みなさんとっても優しそうで……」 「だといいんだがな……。さて、早速だけど、これが例の花なんだが」  そう言ってレオはデスクの花瓶を手前に寄せた。 「鑑識の中に趣味で園芸やってる奴がいてな。そいつが保管してくれたから、状態はいいと思うがどうだろう?」  花瓶の花を近づいて確認してみる。  ミモザは少し小さな花が落ちてしまっているが、葉も残りの花も元気そうだ。かすみ草はちゃんと真っ白な色を保っていてチューリップは少しクリーム色をした花びらが絹のように滑らかなままだった。 「すごい、完璧です!」 「そうか、それならよかった」 「では、これをいただいていきますね。脱脂綿に水を含ませたいのでちょっと失礼していいですか?」 「もちろんだ。この間話を聞いたスペースに水道があるから、それを使うといい」 「ありがとうございます!」  レオに言われた通り、休憩スペースの水道で持参していた脱脂綿に水を含ませた。 「よかった、花が枯れていなくて……」  鑑識が調査していると聞いていたので、もっとひどい状態で手渡されるかと思っていたのだ。  花びらが痛んでいたり、最悪枯れてしまっているかもと想像していた。  あれは支配人が自ら花を指定したアレンジメントだった。きっと大好きな花なのだろう。  この花であれば墓前に備えたら支配人も喜んでくれるかもしれない。 「それにしても、なんでこの花の組み合わせなのかな……」
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