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「許しを乞う、か……」
レオは眉間に皺を寄せながら考え込んでいるようだ。
「もしこの花言葉に意味があるんだとしたら、支配人は誰かと秘密の恋をしていたってことか」
「そうしてそれは許しを乞わないといけない結果になった……と言うことでしょうか」
レオは少しだけ考えてからハッとしたように櫂を見た。
「あの消えた写真の青年か。君はあの青年を支配人ジェイク・ラキオの家族ではないかと思っていたんだったな」
「はい……僕の勝手な想像ですけれど」
「もし、青年が家族ではなくて恋人だったとしたら」
レオは右手を顎に押し当てながら、懸命に考えをまとめているようだ。
櫂も先ほどポッと頭の中に浮かんだ考えを必死に考えた。
ジェイクは櫂がフラワーアレンジメントの担当に抜擢されてから、執務室の花には一貫してこの3つの花を指定していた。
その時はただこの花が好きなんだろうな、くらいの軽い気持ちでしか考えていなかったのだ。
でも、もしこの花がジェイクの心と深くつながっているとしたら、レオと櫂の推理は間違っていないと思う。
「これは、これまでにない角度からの手がかりだ。ボスに報告に行こう」
考えが纏まったのか、レオが櫂に向き直った。その顔には生気が満ち溢れている。
レオはぎゅっと櫂の手をとって休憩スペースから出ると、ボスの席に向かって行った。
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