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 レオがクラブの喧騒を抜けて通りを歩くと、すぐに波音が聞こえてきた。  「少し散歩でもするか」  足は自然とカイマナビーチに吸い寄せられるように向かっていく。  ふと、足元にナウパカの花が咲いているのを見つけた。  先日、カイとマノア・フォールズにトレッキングに行った時のことを思い出す。  「カイは、いま何をしているだろうか」  時刻はすでに夜11時になろうとしている。  カイはおそらくベッドの中だろう。  夜着にくるまって規則正しく寝息を立てるカイを想像して、レオは息ができないほどに苦しくなった。  ため込んでいた想いが溢れて爆発してしまいそうだ。  会いたい、抱きしめたい、触れたい、ずっとそばにいたい、誰にも渡したくない。  笑ってしまうほど自分勝手で剥き出しの欲望をカイにぶつけてはいけないと思う一方、自分がもう限界寸前だと言うことも分かっている。  「もし次、カイに会ったら抑える自信がないな」  自嘲気味に呟いて、足元のナウパカの花を一つ折るとそっとその真っ白な花びらに口付けた。  小さくひんやりとした花びらの滑らかな感触に、櫂の唇を想いながら。  そうして、花を左耳に飾ると夜のビーチを歩いた。
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