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「ようレオ! ここにいたのか〜!」  酒が入って陽気なライアンが、向こうから歩いてくる。人影はライアンの他に4人。恐らく先ほどバーで声をかけてきた女性たちだろう。 「まったく結構探しちまったぜ。ミーナたちが飲み足りねえっていうから場所変えるんだけどさ、お前も来る、だ、ろ……」  ライアンはそこまで言って、一気に酔いが醒めたようだった。それもそうだろう。とんでもなく凶悪な顔をしたレオが、今にも噛みつかと言わんばかりに唸っているのだから。  レオは、ライアンを決して嫌いではない。嫌いではないが、今この瞬間だけはこの男をぶん殴って口を聞けないようにしてやりたかった。 「あ、あれー? カイ! こんな夜にどうしたのかなぁ、あ、ひょっとして散歩?」 「黙れ……」 「わ、悪いレオ、待て、待てって、話を聞け! まさかカイといるとは思わなかったんだよ! 落ち着けっ」  ゆっくりと立ち上がりながらライアンとの距離を詰めるレオだったが、ライアンは少しずつ後退りを始めた。じりじりと目の前の男との距離をつけつつ、今すぐ消えろとレオが叫び出す前に、カイが口を開いた。 「あ、あの! 僕、僕これで失礼します!」 「カイ、ちょっと待って」 「もう遅いから叔母さんたちも心配しちゃうし、……それじゃあ」 「あ、おい!」  レオが止めるのも聞かずに、カイはパタパタと砂浜を慌てて走っていってしまった。
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