デート

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デート

彼女とランチをしてから、すぐにでも会いたい気持ちが強くなった。 次は蓮と三人で会う約束をしたけれど、 家も近いし、誘ってもいいよね? そんなことを考えながら、僕は、彼女を誘う口実を考えていた。 「う〜ん、最近の映画は何かあるかな」 独り言も無意識に多くなる。 とりあえず、電話をかけてみる。 ーープルル プルルルーー 「はい」 電話越しの彼女の声は、元気がないように感じる。気のせいかな…… ? 「昨日は一緒にランチ楽しかったです。ありがとうございました」 「こちらこそ、ありがとうございました。 とても楽しかったです」 「三人でまた飲みに行こうとも話してましたが、趣味とか合うと思うのでまた二人でも行きませんか?」 「…… はい。行きましょう」 「ああ。良かったです。早速ですが今度公開する映画で良さそうなのがあったので、候補何作かメールしますね」 「はい。ありがとうございます。楽しみにしてます」 僕は、昨日のランチでのお礼と映画の約束をして電話を切った。 「ふぅ〜」 凄く緊張した。彼女は迷惑ではなかっただろうか?最初の間が気にはなったが一緒にまた会えると思うと嬉しい。 映画は、ラブストーリーとアクションとホラーの三つ候補にあげてメールをした。 僕はホラー以外ならどっちでも良かったけれど、彼女に合わせる事にした。まさか、女性でホラーを選ぶ人はいないだろう。 数日して『ピコン』とメールの着信音がする。 ーこんばんわ、花です。この前の映画ですが ホラーがいいです ーわかりました。予約しておきます。次の休日 はお時間いかがですか? ーはい。大丈夫です ーでは、時間みて予約しておきますね。 午後からでも大丈夫ですか? ーはい。 大丈夫です。楽しみにしてますね そうメールのやり取りをした。 彼女に次の休日に会える。ただ、ホラーって言うのが心配だけど…… 僕は、ホラーは昔から苦手で大きい音がなると必要以上にびっくりしてしまう。 昔も友達とホラー映画を観に行った時は、 「わぁ!!」とびっくりするものだから 周りの人達もびっくりしてたっけ。今度は、気合い入れて、大きな声を出さないようにしないとな! 時間は、14時から上映の会にして予約を取った。映画を観たあとにいいお店があったら予約しておこう。 僕はすごく彼女に会えるのが待ち遠しくて仕方ない。 映画を観たあとはどこかでご飯を食べようか? どこのお店が好きそうかリサーチをいっぱいして決めた。 お店には、予約をしておく。 彼女に振り向いてほしい。 どんどん、気持ちだけが大きくなって加速していく。とりあえず、僕をまずは知ってもらうしかない。 待ち合わせ当日 出かける支度をする。 前回と違って今回はちゃんと眠れたし、仕事の日と同じ時間にスッキリと目が覚めた。 早めに起きれたから支度もゆっくり準備出来た。 今日は、天気がいい。絶好のデート日和だ。 チケットや忘れ物がないか確認する。 最寄りの駅へ13時に待ち合わせをして一緒に映画館へ行く約束をした。 僕は12時半頃に家を出て川沿いの道をゆっくり歩いていく。 僕はドキドキとウキウキが同居して忙しい。 こんな気持ちになるなんて幸せな事だな。 自然と顔が綻んでしまう。 柄にもなくスキップをしてしまいそうな位 浮かれている僕。 待ち合わせの場所には12時45分頃に着いた。 早めに着いて彼女を待つ。 駅前は、休日だからか人が多い。みんな待ち合わせだろう。周りを観察しているとカップルの待ち合わせがほとんどのようだ。 カップル達は、嬉しそうに合流すると手を繋いだり、腕を組んだりして街中へ消えて行く。 僕達もああなりたいな。と考えてしまう。 13時近くになった頃、歩いている彼女の姿が見えた。今日も可愛い。スカートをひらひら揺らしながらこちらに近づいてくる。 人が多いはずなのに、もう彼女しか見えない。 ニヤニヤしてしまう顔を必死で堪える。 冷静を保つよう努力する。 少しずつ二人の距離が近くなる。 距離が縮まるたび、僕の鼓動は大きく音をたてる。 今にも…… 駆け寄って、彼女を抱きしめてしまいたくなる衝動を抑えながら…… 彼女に笑って手を振る。 「こんにちは。 お待たせしました」 「ううん。全然、ぼくも今来た所だよ」 「なら、良かったです」 とホッとした様子で笑顔になる。 「じゃあ、行こうか?」 「はい」 そう言って二人で電車に乗り、二駅先の映画館へ向かった。 電車の中は、朝のラッシュとは違い空いていた。二人で椅子に座る。 「花さんはホラー映画が好きだったんだね」 「はい。 神谷さんはホラー映画は大丈夫でしたか」 「うん。全然大丈夫だよ、楽しみだね」 僕は本当はホラー映画が苦手だけど、ホラーが怖いなんて恥ずかしくて言えないから平気なフリをした。 あとは、映画の時にびっくりしないこと。 頼りない男と思われたくない。 二人で一つのポップコーンと飲み物を買って シアターへ向かう。 二人で映画なんて緊張する。 「ポップコーン、遠慮しないでここにあるから食べてね」 「ありがとうございます。 私、ポップコーン好きなんです」 彼女が嬉しそうに話す。僕は、彼女の笑顔をみて可愛いな〜 と思ってしまう。一つ一つの仕草が愛おしく思えてくる。 僕は…… もう、気持ちを抑える事が出来なそうだよ。どんどん、気持ちが加速していく。 高鳴る気持ちを抑えながら、自分と戦いながら理性を必死に保つ。 『今は映画だ! 映画に集中しろ! 自分!』 自分の気持ちと戦ってる間に、上映が始まる。 映画館のスクリーンに映像が写って少しずつ周りの明かりがおちていき暗くなる。 本編前に次回作の宣伝があり、本編へは10分程たった頃に始まった。 僕は、ホラー映画が怖いと思っていたけれど、 隣りにいる彼女の事が気になって、チラッとみたんだ。 君がとても集中してみているもんだから、 目が離せなくなってしまった…… 隣りにいる君が可愛いすぎて…… ずっとこのまま時間が止まってしまえばいいと思うけれど。 僕にはホラー映画の内容は全く入ってこないよ。 彼女を見つめながらポップコーンをとる。 彼女もポップコーンを取ろうとして指先が触れる。彼女は、びっくりして慌てた様子で少し恥ずかしそうだ。 僕は、そのまま、彼女の手を繋ぐ。 このまま、彼女を見つめながら、手を繋いでたら僕がパンクしてしまいそうだから、映画に集中しながら、手は繋いだままで。 映画の間はいいよね…… 彼女の手がとても熱い。緊張しているのかな。 もっと僕の事を考えて欲しい。だから、忘れられないように、もっと僕を彼女の心に残したい。 僕は彼女への想いについて考えていた…… 「バタン!」大きな音がする。 その音で僕はスクリーンに目を向ける。 次の瞬間「わぁ〜!!」びっくりして持っていたポップコーンをばらまく。 は、恥ずかしい…… 油断した、やってしまった。 「神谷さん、 大丈夫ですか?」 小声でふふっと笑いながら僕に声をかけてくれる。 「だ、大丈夫です」 恥ずかしくて、頭をポリポリかいてしまう。 「ポップコーンは後で拾いましょう」 僕の耳元でヒソヒソと彼女は話しかけてくる。 「うん」僕は頷き返事をする。 本当に、僕は何をやってるんだか…… はぁ〜 とため息が出てしまう。 残りの映画の時間は、絶望感に囚われてしまっていた。 どういう顔をして話したらいい? 普通に迷惑をかけてしまった事を謝ろう。 一人心の中で自問自答して、ここは、誠実に謝る事に決めた。きっと彼女も笑って許してくれるはず…… 映画が終わってから部屋に明かりが灯る。 周りを見渡すと足元にはいっぱいのポップコーン畑が…… と思ってしまうほど、沢山散らばっていた。 「な、なんかごめんね。 驚かせて、迷惑かけちゃって……」 僕は申し訳なく思っている気持ちをそのまま素直に彼女に伝えた。 ふふっと彼女は笑いながら 「私も一緒にびっくりしましたけど、こんな事滅多にない事なので楽しかったです。ポップコーン畑ですね。 さあ拾いましょ」 「うん。 ありがとう。 僕も、ポップコーン畑って思ってたよ」 と二人で笑いながらポップコーンを拾った。 やっぱり、彼女とは考えることも似てる。 今回はやらかしてしまったけれど、彼女とやっぱり考える事が似ていると再確認した。 この前のランチの時から凄く居心地が良かった。 ポップコーンを拾い終わって、僕達は夜ご飯を食べる事にした。さりげなく、ここのお店はどうかな?って進めて予約していたレストランへ向かう。 レストランは、『ボヌール』と同じイタリアン料理のお店だ。きっと彼女は好きだろう。 今回は、少し変えてスペイン料理にもしようかとも考えたけど、残念ながら予約がいっぱいで無理だった。 「神谷さん、予約してくれてたんですか?」 「うん。 まぁ、実はね。花さんに気に入って貰えたらいいんだけど……」 「ありがとうございます。 とても素敵なお店で嬉しいです」 「喜んで貰えて良かった。 実は、今回、スペイン料理のお店も候補に上げてて、予約しようと思ったら、予約がいっぱいで…… 良さそうなお店だから今度また良かったら行こう」 「え〜 そうなんですか? 是非行きたいです。誘って下さい」 「うん。 今度誘うね」 「はい」 彼女は嬉しそうに答える。こんなに笑顔で答えられると期待してしまう。 お店は『ボヌール』とは少し違って結構かしこまった感じのお店。僕はコース料理を予約していたから飲み物だけ決めて料理を運んで貰う。 「飲み物は何がいい? ワインにする?」 僕は彼女に確認する。 「はい。 私は赤ワインが嬉しいです」 「では、赤ワインをグラスで二つお願いします」 「かしこまりました」と店員さんが丁寧に接客をしてくれる。 程なくして、前菜から料理が運ばれてくる。 店員さんがワイングラスを二つ持ってきてテーブルで赤ワインを注いでくれている。 僕は、凄く緊張する。確か、注いでいる最中はグラスに手をかけたらいけないんだっけ? グラスに赤ワインを注ぎ終わると店員さんがワインの説明をしてくれる。 僕は、慣れない手つきで、慣れているように説明を聞きながら赤ワインの色を見たり、回して味を確かめたりしてみる。 ちゃんと出来てるだろうか…… 「では、失礼致します」 と店員さんが行った後に、恥ずかしくて 「僕、実は、そこまで詳しい訳ではないんだ。ちょっとぎこち無くなかった?」 「そうだったんですか? 全然そういう風に見えませんでしたよ。 かっこよかったです」 彼女はニコリと僕に微笑む。 僕もつられてニコリと笑いかける。 二人で笑い合いながら、次々に運ばれる料理に手を伸ばす。二人で「美味しいね」って顔を見合わせながら。 レストランを後にして帰る。ゆっくり二人で話していたはずなのに、まだ足りない。もうすぐこの時間も終わってしまうと思うと寂しい。 電車から降りていつもの川沿いの道のわかれ道。 「今日は楽しかったです。レストランも凄く素敵で美味しかったです。ありがとうございました」 ニコリと彼女は挨拶をする。 「喜んで貰えて良かった。また、会えるかな……?」 「はい。いつでも誘って下さい」 「うん。また誘うね」 二人で「じゃあ。また」と挨拶をし別れる。 歩き出した瞬間、僕は、彼女への気持ちが抑えきれなくなり、気がついたら彼女を抱き寄せていた。 僕は、気づいたら、気持ちを止められない位、君に恋をしてしまったようだ。 「ごめん。 少しだけ…… このままで」 彼女は、びっくりしていたようで言葉が出ない様子だった。 少ししてから、彼女を抱き寄せたまま 「突然、ごめんね。びっくりしたと思うけど、僕は花さんの事が好きなんだ。 気がついたら気持ちを抑える事が出来なかった」 「ご、ごめんなさい。 私は、幸せになってはいけないんです」 彼女は、僕を押しのけながら、顔は涙で濡れていて、とても辛そうな顔をしていた。 「本当に、ごめんなさい……」 そう言って彼女は走って帰って行った。 彼女に何があったのだろう。過去に何か悲しい事でもあったんだろうか? 家に帰ってきても彼女の悲しくて辛そうな顔が頭から離れない。 半分その辛い気持ちを僕にもわけて貰えることが出来たらいい…… 心ではそう願うも、触れても平気な事なのか、考えてしまう。 僕は、どういう理由であれ、彼女の事を一人にする事は出来ないから、気がつかないふりをして彼女と接する事にした。 それから数日後、蓮から連絡があり、三人で飲む日が決まった。 お店は、僕と蓮が初めて会ったお店になった。そんなに混んでないし、まぁ、初めてのチョイスならいいかな。 連絡は、グループメールで連絡がきた。 ーーお疲れさま。 今週末はみなさん予定はどうかな? ーーおお、蓮、お疲れ!僕は大丈夫だよ ーーお疲れさまです。 私も大丈夫です! 楽しみにしてますねー ーー了解。また店の詳細送るね。 僕達はグループメールでやり取りをした。特に彼女は普通そうだ。メールだとよく分からないかもだけど…… あの日からずっと心配だった。 どうして泣いていたのか、私は幸せになってはいけないと言っていた意味が。 思い切って連絡してみようと電話をする。 彼女の声を聞いてみないとわからない。 ーープルル プルルルーー そんなに長くなっていたわけではないのに 数秒の時間がとても長く感じる。 数秒間の間に僕の頭の中は、ぐるぐる回っていた。 どう切り出したらいいか…… それともただ、声が聞きたいという気持ちだけ伝えたらいいか…… どちらにしろ、彼女が重みに思ってしまうのは避けたい。 ーーは、い。 ーーもしもし、元気? ーーはい。元気にしてます…… この前はありが とうございました。楽しかったです。 ーーうん。僕も、すごく楽しかったよ。 あのさ、もし、よかったらさ…… また再来週の週末、会えないかな? ーーごめんなさい。 その日は予定があって…… 彼女は申し訳なさそうに話す。 ーーそうなんだ。 全然気にしないで。週末って誘っちゃったけど、もし、平日でも花さんが大丈夫なら、平日でも大丈夫だよ。花さんの予定はどうかな? ーーはい。 平日でも大丈夫ですよ。どちらかと言うと、週の始めよりは、終わりの方が嬉しいです。 ーーなら、よかった! 来週の金曜日辺りはどう?かな? ーーはい。 大丈夫です! ーーよかった。 どこか行きたい所とかあるかな? ーー…… 特にないです。どこでも大丈夫です。 ーーうん。わかった。 じゃあ、どこか考えとくね。 僕は、彼女が話し出すちょっとした間に何か違和感を感じる。 本当に行きたい所はないのだろうか。 考えとくと言ったものの、どこがいいのかさっぱり分からない。 休日ならいいけれど、仕事後の限られた時間の中で、彼女に少しでも楽しんで貰いたいと思うと…… どうしていいか分からないから。 数日、朝も仕事中も帰ってきてからも悩んだし、会社の女性社員に、今どこに行きたいか、誘われたら嬉しい場所など聞いてまわった。 女性社員達の意見を参考にしつつ、いいと思った所が一つあった。 最近、僕達の最寄り駅に出来たショッピングモール! あそこなら、偵察がてら行ってもいいし、ゆっくり行きたかったら休日に行くことも出来るし、レストランもある。 レストランは、ホームページを確認すると、比較的高級そうなレストランのようで、良さそうだ。きっと彼女も好きなはず! 僕は予約をすぐにして、心が踊る気持ちを抑えながら、金曜日が来るのをまった。 仕事は、僕の心なんてお構い無しに待ってくれない。 月曜日からいつもと変わらないが相変わらず忙しい。仕事に没頭して、昼ご飯、休憩なしで働く日もあった。昼ご飯を食べても気がつくと16時なんて事も…… かなりの頻度である。 打ち合わせが数件入ってる日は、それぞれの会議の間にトイレを済ませたり食事をしたりしなければいけないし、タイミングを逃すと食べられない…… だから、飲む栄養ゼリーをポケットに忍ばせておいて、移動中にさっと飲んでいる。 今週は、栄養ゼリーがポケットに常に入っている状態だった。 金曜日の朝に、曜日の感覚も忘れていたから、今日は何曜日かと確認したら、 今日が金曜日だと言うことに気がつく。 「わぁ!」僕は、曜日を確認した瞬間びっくりして、心の声が大きく出てしまった。 「よかった。気がついて……」 僕はほっと安心する。もう少し気がつくのが遅かったら、と思うと青ざめてしまう。 彼女を振り向かせる為に、僕なりに頑張っていかないと。 朝のいつものコーヒーを飲みながら、気持ちを落ち着かせる…… 彼女は喜んでくれるだうか…… 仕事帰りだし、あまり気合い入れてもひくだろうし、もしゆっくりまわりたいなら、後日一緒に行くことも出来る。 そんな事を考えながら、ふぅ〜 と息を吐きながら空を見上げる。 とても真っ青で雲ひとつない。 目覚めのコーヒーと空の青さにほっとして、今日も頑張れる。 今日は、気合い入れて早めに仕事を終わらせよう。 彼女とは、僕達の最寄り駅で18時に待ち合わせをする事になった。 僕は彼女とのデートの為、朝から集中して仕事をこなしていく。僕の定時は17時、出来るだけ定時ちかくで上がって、髪型はおかしくないか歯を磨いて、身だしなみを整えたい。 朝から、フル回転で仕事を進めたおかげで、定時に上がる事が出来た。会社のトイレの鏡で顔を確認して、歯を磨いて、準備は完璧だ。 準備が終わるとすぐに向かった。 待ち合わせ時間の10分前に最寄り駅に着くと、 既に彼女が待っていた。 「花さん、お待たせしました、結構待ってたの?」 「いいえ、 私も今着いた所です。 実は、ショッピングモール行きたくて、 すごく楽しみだったので、 早く着いてしまったみたいです。」 「そうだったんだね 。そんなに喜んで貰えてたなら僕も嬉しいよ」 「神谷さん、どうして私の行きたいところがわかったんですか? 私、 びっくりしちゃいました」 「え、 花さんがそんなにびっくりする位行きたい所だったなんて知らなかったけど、ショッピングモールにしてよかったよ。 僕達の家から近くて、食事も出来る所でさがしてて見つけたんだ」 「ありがとうございます」 彼女は、嬉しそうにそう言っていつもの明るい彼女に戻っていた。 よかった。元気そうで。 僕は、心の中で少しほっとした。 もし、彼女の心に暗い何かがあるのなら 少しずつ、僕の光で照らしてあげる。 仕事終わりだったからそんなに時間はなかったけれど、軽くふらっと中をみてレストランに向かった。 二人で話しながら食事をする。 ここも正解! 料理も美味しくてよかった。 モールには他にもお店があるから、次は別のお店に行こうと盛り上がった。 次の予定がない休日に再びここのショッピングモールに来る事を約束して日程もすぐに決まった。 珍しく彼女からギリギリだと予定が入ってしまうかもしれないからと提案されたから。 びっくりしたけれど、再来週の休日に再び来る事になった。 僕は休日はほぼ予定がない。入っても急な仕事だったりする。 「楽しみですねー 早く再来週にならないかな」 彼女は、目をキラキラさせて笑っていた。 「そうだね。 楽しみだね! 次はどこのお店に行きたいか考えといて、予約するから」 「はい。 ありがとうございます。 次はどのお店がいいか考えてまた連絡しますね!」 うん。と頷きながら、彼女はドヤ顔をし、ショッピングモールのパンフレットを僕に見せるようにぎゅっと手に握りしめてる。 「ははっ はははは」 そんな彼女をみていたらおかしくて思わず笑ってしまう。 「もう! なんで笑うんですか? 何か変なことしました?」 そう言って、少しふくれたように話す。 「ごめん、 ごめん。 花さんがかわいくて、思わず笑っちゃったよ」 「はい? もう! やめてくださいよー 」 彼女は恥ずかしそうに顔を赤くして僕を叩こうとする。 僕は彼女の腕を掴みこっちへ引き寄せ、彼女を抱きしめる。彼女はびっくりした顔をして僕達は見つめあい、僕は彼女に引き寄せられるように近づいてキスをする。 彼女も抵抗はせず、僕を受け入れてくれた。 今までの気持ちが止まらなくなるほど、溢れてくる。僕は、彼女をぎゅっと抱きしめ何度もキスをした…… 僕は、彼女の耳元でささやく…… 「もし、何かあるなら、君の荷物を僕にも少しわけてくれない? 君の辛い気持ちも楽しい気持ちもどんな時も一緒にわかり合いたいんだ…… ダメ…… かな?」 「ダメ…… じゃないです…… でも、私…… 幸せになるのが、こ、怖いんです」 そう言って彼女は涙を流している。 抱きしめている彼女の体温が熱くなり、耳元の彼女の吐息が泣いていると訴えている。 彼女は、気がつかれないようしているようだった。 「大丈夫だよ。 安心して。一緒に幸せになろう」 僕は、彼女の頭を優しくなでる。 「ありがとうございます。 でも、すぐには答えが出せません。まだ怖いんです」とそっと僕から離れた。 「わかったよ。 すぐにとは言わない、僕とゆっくり会ったりして 花さんが大丈夫だと思ったら僕の所にきて。待ってるから」 そう言って僕は、彼女の返事は待たず、話題をかえて、彼女の手をひいて歩き出した。 僕の気持ちは決まっている。彼女に何が起きたのか話してくれるまで待って、このまま彼女を想っていよう。
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