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目を閉じると、いつものように死の谷が現れた。スインの記憶の中で、谷はその時々によって距離や大きさを微妙に変える。だが、谷がどのような姿で現れても、スインは自分と谷の間に淡く輝く足跡を見つけられるようになっていた。
いつものように手足の力を抜き、深呼吸をすると、スインはスタートを切った。スインの足裏に、輝く足跡がぴったりとはまる。最後の一歩を踏み切ると、スインは虚空に向かって飛び出した……
スインは、ゆっくりと目を開いた。
――もう大丈夫だ。
明日、俺は大いなる鳥になってみせる。
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