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ホテルにチェックインをする。
「おめでとうございます」とフロントマンは言った。
「ありがとう。お世話になります」と灘は答えた。そして部屋のキーを受け取る。
軽くわたしをエスコートする。
エレベーターに向かう。
あのグランドピアノの音
人口の滝の音
ガラスの向こうの借景
その横を通り、一歩一歩、わたしは逃げられない密室へと近づいていくのだ。
水の音が、心の中でうねりをあげる。
なのにわたしは無反応だった。
いつだってわたしは、押し切られ、流されていく。
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