127人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうそう、日本セラピスト養成学校! その願書はもう出したの?」
「うん、もう出したよ」
進路について悩んでいた時、偶然図書室にあったパンフレットが目に入った。大きい文字で『日本セラピスト養成学校』と書かれているパンフレットが。
聞き馴染みのない学校名に、思いもよらない興味が湧いた。
軽い気持ちで手に取り、パラパラとページを捲ると、ある一文に目が奪われる。
『あなたの手で、温もりを伝えよう』という謳い文句が、私の心を揺さぶったのだ。
ユウキ……。
あなたの足は、温もりを感じられるかな。
私が触れても、何にも感じないのかな。
もし、私の手で、温もりを伝えることができるなら。
この人生、捧げてもいいかも。
思い立ったが吉日、その夜すぐに両親にパンフレットを見せた。
昔から、一度決めたことは突き通す性格だ。
自分でもその性格が面倒だと思う時もあるけど、なんだかんだ気に入っている。
一方、何回言っても学校名を覚えられない母は正反対な性格。
私のそういうところは、父親に似たのだろう。
「もう願書出したんだ! さすがナオ、仕事が早いわね。あと何だっけ、また忘れちゃった、あなたが通うコースだけど……」
「ああ、リフレクソロジーコースね」
「そう、それそれ! カタカナが多くて分かりづらいわ。そのコースで本当に良かったの?」
「うん、リフレクソロジーがやりたかったから」
最初のコメントを投稿しよう!