夏休みは合宿に

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 考え方を見直そうか心の中で悩んでいた時、入来ちゃんが水滴が垂れている天井を見ながら語り出した。  わかったこと? 入来ちゃんの失恋でわかったこととは、一体なんだろうか。  参考になりそうな答えを期待して、興味津々な顔で答えを促した。 「何? わかったことって?」 「たぶんだけど、戸部君の好きな人、ナオちゃんだと思う」 「……え」  恋愛において必要なものとか、失恋を乗り越える方法とか、そういう哲学的な答えを期待していたけど、全く予想していない内容だった。  何と言っていいかわからない私は、今度は自分自身の手で口を塞いでいる。  見かねた入来ちゃんが、笑みを含みながら話を続けてくれた。 「私が振られた瞬間ね、余韻もないままナオちゃんの心配をし始めたの。その切り替えの早さにも思わず笑っちゃって、ついナオちゃんを探してきてって言っちゃった」 「私のせいだね。私が余計な行動をしなければ……」 「違うの、それは逆にありがたかった。諦めつきやすかったし、戸部君の好きな人がナオちゃんだったら、私も嬉しいし」 「でも……」  流れのままに、あの花火大会のこと。そして、ユウキに彼女が出来たこと。  私の機能を停止させている元凶を、全て話した。  すっかりのぼせるくらいに入来ちゃんは聞き入ってくれて、裸のまま抱きしめてくれた。  もう何分も浸かっているこの大浴場で、友達の温もりを感じられるなんて。  入来ちゃんが『辛かったね』と一言こぼすと、少しずつ力が抜けて、気が楽になった。
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