PROLOGUE

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神は「箱」の中に後継者を見つけた。 それは神の出来心であり、新たに「箱」の所有者となった者への同情であり、実験であった。 人類の行いを理解できないのは、視点が違うからではないか。それが神の結論であった。 であれば、同じ視点を持つ「箱」の中の者に「権利」を与えてはどうか。神はこう考えた。 神が采を振るのではなく、采が自ら出目を選択するのだ。 好奇心も働き、神は「権利」を得る権利を得る果実を、「箱」に落とした。 『神ノ果実』。それを口にすれば、彼の者は神の代理者となる。 『神ノ果実』が穴底の男の元に届いたのも、神の意向であった。 何も得てこなかった男が全てを手にした時。如何様な動きを見せるのか。 神は興味があった。 「彼の男は救われて然るべき。救いの定義もまた新たな脳が決めればよい」 神は「箱」を手放した。
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