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THIRD
男はこの日、目を覚まさなかった。
それは今日に限った話ではない。
男は100年近く、眠ったままなのだ。
しかし、死んでいるわけではない。
仰向けに眠る男の胸は、今も微かに上下している。
横になる男の頭部からは、七つの管が伸びていた。
より正確に言うなれば、頭にすっぽり被せられた半球状のモノに、七つの管が繋がっているのだ。
それは、さながら生命維持装置のように見えた。
男の命を繋ぐモノは何なのか。
何事かを願うような静かな表情で、男は今日も眠り続ける。
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