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「入って!」
トーヤの言葉に、李空、セイ、マテナは一斉に怪訝な顔をした。
トーヤが指差す方向には、禍々しいオーラを放つゲートのようなモノが開いている。
それは零ノ国にある『サイワープ』とよく似ていた。李空はそれを思い出し、警戒を緩めた。
セイとマテナも見覚えがあったのだろう。顔つきから警戒の色が薄まった。
携帯電話が使えないことを知った李空らは、石版を目指すということで話が着いた。平吉と同様の理由からだ。しかし、トーヤは石版のことなど何も知らないという。
どうしたものかと考えていると、またしてもトーヤが「あ!」と声をあげて「付いてきて!」と歩き出したのだった。
李空らは互いに顔を見合わせたが、他に手がかりがないということで、仕方なしに後に続いた。その先にあったのがこのゲート、というわけだ。
「やっぱり僕から行くね!」
何がそうさせたのか、もう待ちきれないといった様子でトーヤはゲートを潜っていった。
「どうやら危険はなさそうですね」
「他に行くあてもない。行くしかないな」
「そうだな」
トーヤが先陣を切った安心感と、ここで引き返すわけにはいかないという想いから、李空らもゲートに足を踏みいれた。
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