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アトとトト
髪飾りは予想していた通り、受け継がれていた。今は神官の娘が持っている。会ったことはないが、ニコの能力で容姿と位置を、頭の中に映像として見せてもらった。近づくにつれ、独特の気配がしてくる。…神官の娘は…
「ニコ、いったん引こう。」
『なんで?』
「神官の娘は術師だ。この気配…精霊をたくさん従わせている。」
『…大丈夫だって。ついでに他の精霊も解放しようかな。』
術師に会ったことがないのか?力を使うだけ使わせて、消してしまう者たちだぞ?
「だめだ。出直してから策を…」言い終わる前に娘の小屋へ入ってしまった。
ガッシャーン、パリンパリン
小屋から何か壊す音が響く。
「ニコ!」
「アトだな…。驚いた、奥様…位置も完璧だ。なかなか気配を消すのが上手くなったな。」
嫌と言うほど聴き慣れた、俺の師匠トトの声が…背中に悪寒が走る…
「くっ…」
あっという間に腕を捻り上げられる。師匠にはニコの能力でも通用しないのか…
くそっ!
「こんなところで、何をしている?」
「……。」
「だんまりか。くく…まあいい。来いっ。」
俺は捻り上げられたまま、村長の小屋へ連れて行かれた。
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