Act 3

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Act 3

変? でもさっきは、せいぜい足跡が残るほどで、こんないうずたかく積もっていないかった。 「ストーブ出したぞ」 「わー、おもち食べたい」 「餅か、ある?」 あるけど、なんだか変な感じ、キツネにでも化かされた?なんかおかしい。 ふらふらと、何か乗り物にでも揺られているような感覚でキッチンの戸棚を開けようとした。 「おい」 ん? ちょっと来い。 なに? 「ママ―まっか」 「ゆでだこみたい」 冷たい大きな手がおでこに。 「熱あるな」 「ママ―風邪?」 「かもな、お前、寝ろ」 「学校やすみ」 「そうか、俺の方は、やりー休みだ、うおー、線路雪で埋まってるぞ」 どれどれと覗く子供たち。 ああそうだ、彼。彼が。 「うわー、母ちゃん」 「ママ、ママ!」 「おい、はるみ。はるーしっかりしろ」 なんだかこういうのいいなー。 バン! 泣いてるのは私? またあの部屋だ。 変な日だな? トントン。 誰か来たけど、出たくない。 コンコンコン、春ちゃん起きてる? この声は、夫の声、どこか安心している。真下にいた、彼の友達。 ドアを少しだけ開けた。 ジャンパーのフードをかぶって、寒そうな人が震えながら立っていた。 「ごめん」 なんであなたが誤るの? すると彼の手が伸びてきて、私を抱きしめた。 大きな体がすっぽりと私を包んだ。 泣かないで、俺がちゃんと注意すべきだった。 そう言ってくれた彼。 「寒いからどうぞ」 フードを取ると、ぼさぼさの頭をかきあげた。 そうか、癖なんだ。 いい男はあっちじゃない、この人だ。 それでも無精ひげ、なんかおかしくて。 「ふわ―、あったケー、なあ、停電でさー、部屋氷みたいなんだ、あ、ストーブ、いい?温まってもいい?」 それがかわいくて、彼とお付き合いするようになった、そして…今。 ごー、ごー。 隣から聞こえる轟音。 目を覚ました。 腕枕、ものすごい恰好で寝る彼。 起きようかと目を移すと、石油ストーブの前でおとなしく遊んでいる兄妹。 彼と一緒になってよかった。 でも、あの足跡は何だったんだろう?
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