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Act 6
駅前の交番へ連れて行った。一時預かりでいいということで写真を撮られた。
パパと別れ、二人は我慢して学校へ行き、帰りは超特急。
「ただいま!白は?」
「白はこっちよ」
名前まで付けたか、こりゃ、もしもの時は大泣きだな。
前足には包帯。結構深くガラスのようなもので切ったらしい。獣医さんによるとこの子は知らないといっていた。
犬種は何かと尋ねたら、プードルだろうという。近所にプードルはいないよな。
病院にも一応、尋ね犬として写真を貼っておいてもらった。
その間私も病院へ、風邪と疲れ。そんなんで薬だけ山のように頂いてきた。
ちゃんと面倒を見ることを約束させ、お母さんは面倒を見ませんと言っておいた。
でも犬好きなんだよね。
あの子たちが帰ってくるまで、この子と遊んでいたよ。
「ただいま」
「父ちゃん、わー、さすが―」
「餌、餌、白―ご飯だよ」
何か手にいっぱい買いものをしてきた人。
もう、飼い主見つかったらどうするのよ。
聞きゃいいだろ、くれませんかって。
そんな簡単に。
お前は難しく考えすぎ、だからあんな夢見るんだよ。
ごめんなさい。
そういうことだ、俺と子供だけ見とけ。
それに笑いが出た。
今年の大雪の珍事、でもまだ一月、二月、もう一回ぐらいドカ雪になるかもな、もう夢は…。
ぶっ!
もう、隣でおならをした夫。もう笑いしか出ない。
「笑っとけ、悪夢じゃなくてよかったな」
そうだね、心配かけてごめん。
ぶっ。
「もう父ちゃん、あっちでしろよー」
「デリカシーないわよね」
「白、ほえろ、臭いって」
「エ~臭くねえだろう―、嗅ぐ?」
ワーワーいう子供たち、そして私は幸せを感じていた。
でもあの足跡は、この子が探してっていうSOSだったのかもしれない。
子供たちの間で寝る白に、よかったねって言ったら片目を開けたような気がした。
まあいいか。
END
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