終電間近

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 ビームバルカン砲で傷つけて怒らせ、こちらに気を引く。 それを追いつきそうでつかれない絶妙な操縦で、逃げ回る。 弱ったところで、主砲の3連電磁砲でとどめを刺す作戦だった。 ところが蜻蛉モンスターは、急に反転して雲の中に逃げだした。 「ちょ、ちょっとフジ、アイツ逃げてっちゃったわよ」 「なんでだよ、お前変なところに当てたんじゃないのか」 「ひとのせいにしないでよ、とっとと追いかけてってば」 言われるまでもない、急反転して全速力で追いかける。反転時のGで吐きそうになるが、我慢する。 「くそ、速いな。追いつけるか」 心配になったが、なんとか背中というか尻が見えてきた。よし少しづつだが追いついてきたぞ。 「フジ、もうちょい近づいて」 「おう」 速度はマックスだ、このままじりじりと近づくしかできない。だが着実に近づいているのは確かだ。 「え、ちょっと待って、アイツ亜空間に逃げるつもりよ。ゲートが開いているわ」 「んだとぉ!!!!」 まずい!! パノラマanotherは通常空間では空海陸なんでもござれだが、亜空間移動は敷かれたレールしか移動できない。 蜻蛉モンスターの行く亜空間に入ったら、脱線して帰れなくなってしまう。 「ケイ!!」 こっちの考えが伝わったのだろう、返事は聞こえなかったが、無言の頷きが聴こえた。 蜻蛉モンスターがゲートに入り始める、ダメか、間に合わないか、その時だった。 「いっけぇぇぇぇぇぇ!!!!」 主砲の3連電磁砲が蜻蛉モンスターを撃ち抜いた。 「セイメイ ハンノウ ロスト」 シーロの言葉に思わずガッツポーズした。やれやれシンプルケースの筈なのに苦労したぜ。 車両中央の射撃席にいるケイに合図すると、オレは元の世界に繋がる亜空間へと進路をとった。  無事帰還し、作戦成功を報告すると、隊長から解散の言葉をもらって家に帰る。 時間がかかったのて明け方近い。仕事に差し支えないように少しでも寝なくては。  「ふわあぁぁ」 「藤白先生、寝不足ですか。体調管理も仕事のうちですよ」 学年主任に注意されて慌ててシャキッとする。 「だ、大丈夫です。授業に行ってきます」 職員室を出て担当クラスに向かう。やれやれ世界を守る仕事も、子ども達の教育もどちらも大事だからやめられないな。 「きりーつ、礼、着席」 さて、がんばって授業を始めるか。同じく世界を守る仕事をしながらも、ちゃんと皆勤賞で成績上位をキープしている生徒に負けられないからな。 ーー 了 ーー
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