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「あ…。耳ですか??」
「いやいやいやこの流れでそれはおかしいでしょうが…!」
とす、とおでこに優しくチョップされた。
いや。おかしいのは先輩の方だと思うのだけれどと思わず眉を潜める。
「先輩が好きなのは耳では…?」
「それも好きだけど、それとこれとは別」
「はあ…」
「…て、いうか、好きじゃない子にチューしないでしょ」
「そ、れは」
ある種、人それぞれなのでは。と、言いかけて口ごもる。
クラスメイトの女の子たちがそういった類の話をしているのはよく見かけるし、嫌でも耳に入ってくる。
中でも時折この先輩のことも話題に上がったりする。
『先輩かっこいいよね!』
『わかる~!一回で良いからキスしてほし~!!!』
『思い出でいいから!って思っちゃうわー!!』
(……変なの)
そう思っていた光景がふと過り、先輩もそんな感じだったり。なんて思ってしまって。
でも目の前で私の様子を伺う先輩が、そんな思いでで人にキスしてくるような人なのかと自問するとそうではない様な気がして言葉が出なかった。
先輩はたまに人のことを茶化してくるけれど、こういう時は気持ちに真摯に向き合ってくれる。
だから多分、今さっきの告白は。
「…。」
「その真っ赤な顔、俺好き。」
「…うるさいです」
「うあ、ほんと可愛い…。いたたた、つねらないで」
なんだかむかついたので、先輩の腕をつねっておいた。
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