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はじまり
「僕さぁ、耳フェチなんだよね」
「…はあ。」
春の暖かい風が優しく吹き抜け、肩まで伸びた髪を揺らす。
高校2年生に上がるまで屋上なんて立ち入るどころか入れるとも思っていなかった。
この暖かい日差しを浴びていっそ寝てしまいたいくらいだ。
しかしそんなこと、目の前の人が許すだろうか。
「でね、君の耳がとっても理想的で」
「…はあ。」
「それで捕まえておかないとなぁって」
ふふふ、と柔らかく笑った先輩。
この時から私の日常が非日常に変わった。
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