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そして一層深くため息をついたと思ったら、むいっと痛くない程度に私の頬を摘まんだ。
「…なにふるんでふか」
「可愛い。…じゃなくて、いや、可愛いんだけど、」
「ふぁい…??」
なんで一瞬真顔になったんだろう。…まあ、いいか。
「あれは、勝手に乗っかられただけですぐ降ろしたの。」
「はあ…。」
「だから俺のフェチとは関係ないし、瑠璃ちゃんが代理とかそういうのもない。」
「…???」
私と関係ない…?
掘り返された謎に首をかしげる。
先輩はまた一瞬真顔になって何か言葉をこぼしていたけれど、それはもう気にしないことにした。
「じゃあ何で、来なかったんですか?」
「……無くしたから。鍵」
なるほど。
それで今さっきの無くしちゃったに繋がるのか。
「それならそれで言ってくれれば」
「それも、伝えようとして、でも連絡先知らないから教室行ってみたら瑠璃ちゃんいないし」
「え??」
まさかの答えに驚く。
聞けば、しばらく教室を覗きに来てくれていたものの私が屋上に行ったタイミングとばっちり重なってしまってすれ違いになっていたと。
クラスメイトに伝言を頼もうかと考えてくれたらしいけれど、以前質問攻めにあったのを先輩にこぼしていた為躊躇い、明日また来ようと思っていたら今度はクラスメイトに捕まり、足止められ、あれよあれよと本格的に受験対策が始まってしまったと。
本当、見事なまでのすれ違い劇で思わず笑いそうになるほどだった。
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