本編

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痛い、なんて言いながらおかしそうに笑うこの人がちょっとだけ恨めしい。 会えない時間の間、先輩のことを全く考えなかったわけではない。 授業中もお昼の時間放課後も、心に隙間ができたような違和感があったし、 校庭で遊ぶ先輩たちをみてはしゃぐクラスメイトの会話に意識が向いてしまうことも度々あった。 全部気のせいにしたかった。しようとしていたし。 「瑠璃ちゃん?…ほんとに怒った?」 こうして顔を合わせてみればそんな考えは消えてしまって、 またあの屋上での時間に戻りたいなんて思ってしまう。 「先輩。」 「ん?」 「私、先輩のこと、好きかもしれないです」 「………え?あ、…え??」 「っふふ」 今までで一度も見たことのない、驚いた表情の先輩。 その頬は次第に赤くなっていってそれが何だか面白くて思わず笑ってしまった。 「笑わないでよ、もう」 「これでお相子ですね、先輩?」 「…ん。瑠璃ちゃん、もう一回するね」 「え?んむ。」 塞がれた唇からじんわりと熱が広がっていく。 夏の蒸し暑さとは違う、優しい温かさが心地よくて、目を閉じた。 (おしまい)
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