本編

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私と先輩がいる高校は都心の外れにある普通科高校。 偏差値は中の下といったところの微妙な高校で、進学組と就職組で多少授業が変わる。 私は進学組、先輩も聞いたところによれば進学組だと言っていた。 (進学組ならこんなとこで人の耳触ってる場合じゃないと思うんですけど) と、心の中で悪態つく。 しかしそんなの先輩には伝わらないし、そもそもこの先輩には効かない。 先輩こと薙澤 理来(なぎさわ りく)先輩は学年主席だ。 志望校は都心の難関大学らしく、模試の判定ではこのままいけば合格間違いなしだと聞く。 何故こんな事を知っているかというのも、そもそもこの学校で彼を知らない人はいない。容姿端麗に運動神経もよく、かつ学年主席とくれば関わりがなくとも勝手に色んな話が耳に入ってくるものだ。 それに同じく進学クラスの私はテスト返却時に構内に張り出される順位表を目にする訳だが学年毎に同じ掲示板に張り出され、毎度上位にいる先輩の名前は嫌でも目に付くし勝手に覚えてしまっていた。 「今日は何食べてるのって聞いたんだよ?」 「見ればわかりますよね?」 「うーん、今瑠璃ちゃんの耳の裏のほくろ見てるから」 「…。」 さすがに引きそうなんですけど。 こんなのに向かって黄色い声を飛ばしている女子たちが謎で仕方がない。
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