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「はぁ~、やっぱりお酒は日本酒にかぎるわね~」
ほんのりと薄紅色に頬を染め、一気に空けたコップを
うっとりと眺めていた。
全国に展開するチェーン店の味付けとは違い、ひと味気をきかせた料理はどれもこれも美味しかった。
もっとも先程の飲み会はシヨカの行動にハラハラして、飲食どころではなかったのだ。
「だいたいあーゆー席に、ツボミちゃんは似合わないわよ」
すでに3杯目に突入しているシヨカは、顔は赤くなっても意識はしっかりしており、注文したホッケの身を綺麗にほぐしていた。
「どーせあのあとカラオケ行ったって、幹事役押し付けられちゃうのは目にみえてるし~」
そうなのだ。
結局私は、そういう損な役回りなのだ。
シヨカのように可憐でも、他の人達のように積極的でもない。
地味だし、身長も高い(175㌢)、そばかすの肌に、くせっ毛で……、私には良いところなんて
どこにもない。
そのくせ、シヨカは、
烏の濡れ場色の髪、
目鼻立ちのしっかりした容貌、
小柄で日本人形のように和服がよく似合う。
おまけに書道の家に生まれたおかげで、字も綺麗だった。
比べるべきではない。
なにからなにまで違う
私とシヨカを比較するのは、
お門違い、なのだが、
けれど……、
どうしても、そばにいると
比べてしまう……。
私はいつも、
明るく我が道を進む
シヨカに対して、
強いコンプレックスを抱えてしまう……。
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