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「は? ありえないし。絶対嘘じゃん」
二人の話を聞いた海斗は、一笑に付した。
「海斗、そういうの絶対信じないもんね」
「当たり前だろ。おばけなんているはずないじゃん。今は西暦二千年だよ。未練や恨みがあるからっていちいち幽霊になってたら、そこら中おばけだらけで足の踏み場もなくなってるよ」
リアリストの海斗らしい半ば呆れ気味の言葉に、祥子はかえってほっとするものを感じた。
幽霊なんているはずがない。元々は自分もそう信じていたはずだと目を覚まされる気分だった。
祥子と礼二はあの後部屋を飛び出し、朝が来るまでファミレスで一夜を過ごした。夜のうちは二度と部屋に戻ろうとは思えなかったし、明るくなってからも、ダッシュで大学へ行く荷物を取り出すのが精いっぱいだった。
営業開始の時間を待って最寄りの宅配会社に問い合わせしてみたものの、追跡サイトと同様で、配達履歴は確認できないの一点張りだった。配達した体格の良い女性も、記憶にないと言っているのだという。
そんなはずはないと礼二が食いつけば食いつく程、わけのわからない大学生が意味不明なクレームを言っていると煙たがられているようで、渋々引き下がらざるを得なかった。
購入したオンライン売買サービスにも繋がらず、宅配便の履歴もない。
八方ふさがりの状態に陥った二人がどうにかしてあのスマホを返品なり、処分なりしてしまおうと相談している最中、揃って教室にやってきた梓と海斗のカップルに経緯を説明したのだ。
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