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「でも、金縛りもおばけ見たのも初めてだし……」
「金縛りは肉体的かつ精神的疲労によるもの。おばけはそのスマホに対する気持ち悪さが見せた夢だよ。結論、祥子ちゃんが寝ぼけただけだって」
「何それ、ひどーい!」
言い返しつつ、祥子は自分に笑顔が戻って来たのを実感していた。
毎日が楽しければそれでいいという能天気な梓とは対照的に、海斗は常に現実的で理論派の、冷めた性格をしていた。普段はノリが悪いと感じる事も少なくないが、こういう時は誰よりも頼りになると見直させられる想いだった。
「そこまで言うならさ、海斗君なんとかしてよ。返品するにもサイトにログインできないからどうしようもないの。怪しい闇サイトだから問い合わせすらできないし」
「そういう悪戯なんじゃないの? 薄気味悪い画像見せたり、メール送ったりして驚いているところを盗撮するのが目的とかさ。知らないうちに遠隔操作でインカメラが作動してたりするかもしれない。そのうち動画サイトにアップされるかもね」
言われてみればありそうな話だ。祥子たちのように浅はかな人間を騙して、驚かせるのが目的だなんて。
「どうせそのスマホ、使う気ないんでしょ?」
「あるはずないじゃん。早く手放したい」
「だったらさ、ぶっ壊しちゃえば?」
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