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鳴っているのは今通話を終えたばかりの祥子のスマホだ。
梓かもしれない。
咄嗟に手にしたスマホを、ひっと悲鳴をあげて祥子は投げ出した。
ひび割れたホーム画面が、見覚えのある充血した目に変わっていた。
真っ暗な闇の中に浮かび上がる、恐怖に見開かれたかのような目。
「どうして? 私、何もしてないのに……」
「これじゃあまるで……」
床の上で振動を続けるスマホを礼二が恐る恐る拾い上げると、メッセージの受信を示す通知がみるみる内に増え続けていた。
誰かが大量のメッセージを送りつけている。
まさか……祥子はごくりと唾を飲み込んだ。
最悪の想像が、脳裏を掠める。
変わったのはホーム画面だけじゃなくて、祥子のスマホそのものが……。
「そんなことって……」
礼二は震える手でメッセージアプリを立ち上げた。
画面に現れたのは――
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