かえして

「もうそのスマホ駄目じゃね？　諦めて買い換えたら？」
「だってまだ一年も経ってないんだよ。高いしさ」
　去年実家に帰った時に、親に泣きついてなんとか買い換えて貰ったばかりだった。しかも祥子に対して何かとキツい母親の目を盗み、父親がポケットマネーで出してくれたのだ。
　かといって大学生の祥子たちに、数万円の購入代金がポンと出せるはずもない。
「ネットで買えばいいじゃん」
　涙目の祥子に、礼二は得意げに言った。
「中古だったら安く買えんだろ。ショップ持っていけば手続きもしてくれるしさ」
　祥子よりもネットに詳しい礼二は、先日パソコン用のモニターをオークションサイトで落札したばかりだった。買うばかりでなく、読み終わった漫画や着なくなった服などは次から次へとフリマアプリで出品しているらしい。
　そう珍しいものでもないにも関わらず、ちょくちょく売れたと言ってはコンビニで発送手続きをしている。そんな例にも表れる通り、何かと倹約志向の礼二はお金のやりくりが上手だ。
「でもやっぱり高いよ。そんなに新品と変わらないし」
　早速ひび割れたスマホで調べてみるものの、目ぼしいものはなかなか見当たらない。