かえして

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「問い合わせ先は? どっかにあんだろ?」  サイト内を探し回るものの、ユーザーサポートとよくある問い合わせのページを堂々巡りさせられるばかりで、電話番号や問い合わせフォームにたどり着く事ができない。 「なんなのこのサイト? やっぱりヤバかったんじゃない?」 「そんな事言ったって……そうだ! 送り状は?」  慌てて送られてきた箱を見て、愕然とした。  受け取った時には興奮のあまり気づかなかったが、送り状には本来あるべき送り主の情報がなく、送り先として祥子の情報が記入されているだけだった。 「これじゃあ誰が送ったのかすらわからないじゃない!」 「大丈夫だよ、追跡してみれば履歴は遡れるはずだし」  手慣れた様子で、礼二が宅配会社の追跡サイトに伝票番号を打ち込む。  しかし、表示されるのは伝票番号未登録というメッセージだけだった。 「どうなってんだよこれ。宅配便で届いたんじゃないのか?」 「ううん。いつもの人だったよ」  祥子が玄関口で受け取った相手は、間違いなくいつも来る宅配便の人だった。ちょっと恰幅の良い特徴的な女性だけに、見間違うはずもない。 「やだ。ホントどうなってるの? 気持ち悪い」 「いいよ。とにかく明日になったら運送屋に問い合わせてみよう。最悪、運送屋に引き取ってもらおうぜ」  ひとまず箱にしまって、忘れよう。  先延ばしのようにも思えるが、二人にとっては次善の策だった。この薄気味悪いスマホについては、せめて明るい太陽の下で考えたい。とにもかくにも全身を襲う不快感から解放されたくて仕方がなかった。  ――異変が起きたのは、そんな二人が寝静まった後の事である。
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