下町の料理人

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 時宗は本当は家を継ぎたくなかった。  長男が継ぐ路線だったのに、急に兄はサラリーマンになってしまい。  家を継がなくなり、自分にお鉢が回ってくると流石に考え込んでしまっ た。  「兄が継ぐと思っていたのに・・・」  時宗は弓川弥次郎兵衛時宗という長い名前だが昔から弓道が好きだった。 浜町公園にあった弓道場へ小さい時から通っていた。  弓道の腕は確かふだったが料理の方には興味がなかった。  「まさか、自分に回ってくるなんて、思ってもみなかった」  「手が震えないかな。料理づくりなんて、やったこともないのにな」  最初は不満に思っていた。  弓をやっていたために腰と上半身は発達していた。 着痩せはしているが。裸になると筋肉が締まっていた。 目は両眼とも2.00だったので、遠視に近かった。 どうしても右手がやたらと強くなってしまっていた。 真と狙いの感は小さい時からの修行で優れていた。 百発百中は行かないけれども、それに近かった。 気質は負けず嫌いであって、悔しさを顔に表すタイプだった。 弓川家はもともと、祖父の母親は長刀の教師だった。 もともと下級武士の系統で、徳川家康と共に、三河から、この土地に寝ずい たのだった。
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