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プロローグ
一番後悔した日はいつだろう。
声をかけてくれたのに上手く返せなくて俯いてしまった日。
目が合ったのにあからさまに逸らしてしまった日。
帰り道が同じなのに早歩きで距離を取ってしまった日。
思い出すとどれも思春期という言葉で片付けられてしまうような、そんな甘酸っぱい記憶。
でもそれが積み重って時間が経てば経つほど、想いとは裏腹に気持ちを言葉にするのが難しくなった。
自分の想いが膨れ上がって苦しくて、こんなにも彼女を想っていたことに気がついた時には、もう手遅れで。
彼女はとっくにこちらを向いていなかった。
手元の携帯に突きつけられた現実から目が離せない。
そこに写っているのは純白のドレスに身を纏って幸せそうに微笑んでいる彼女。
綺麗だな、と思う。
でもその隣にいるのは、自分じゃない。
はぁ、とため息をついてみても胸のざわめきが治らない。
胸はざわざわして、つーんと目頭が熱くなって思わず目を瞑る。
絶望。哀しみ。果てのない虚無感。
全てが一気に降りかかってきて目を開けられなくなる。
なぁ、俺はこれからどうしたらいい。
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