first lap「始まりの朝」

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first lap「始まりの朝」

「おはよう」 身支度を済ませてリビングに行くと、ホットドックが置いてあった。 コーヒー牛乳を取る為に冷蔵庫に向かう。 「おはよう!晴(はる)、今日山行くんでしょ?夜は冷えるから風邪ひかないようにね。」 「はいはい。」 ドレッサーからこちらを見ていた母さんと目が合う。やけににこにこしている。 「いいなぁ、サークル合宿とかめっちゃ大学生じゃん!あ、兄ちゃんホットドック焼いといたよ。」 妹の幸(ゆき)がホットドックを頬張りながら俺の分を指差す。 「あぁ、ありがとう。」 作ったのは母さんだろ、と心の中では思いながら一応お礼を言っておいた。 「牧村さんと昨日話したけど、咲良ちゃんも写真部なんだってね!小中高大サークルまで一緒なの?!って盛り上がっちゃって!」 「それはもう運命じゃーんてか兄ちゃん写真部なの未だに驚きだわ。」 母さんがにやにやしていた理由が分かった。 それにしても朝から二人の視線が痛い。 あまり目を合わさないようにして、ホットドックを二口で食べてコーヒー牛乳を流し込んだ。 母さんは返事を待っているのか、ファンデーションを片手にこちらを見ている。 幸は特に興味ないのかテレビを見ているようだ。 「ずっと地元にいたら普通にあり得ることだろ。じゃあ明後日帰ってくるから、いってきます。」 一息に言い終えると逃げるようにリビングを出て玄関に向かった。 まさか朝から咲良の話が出るとは思わなかった。 平静を保ってるフリをしながら靴紐を結ぶ。 「いってらっしゃい!気をつけてね!」 リビングからこちらを覗いている二人にひらひらと手をふって玄関を出た。
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