第一話

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*  暗い部屋の中、そこにはいくつかの大きなソファーがあり、ブースごとに簡単に薄いカーテンで仕切られていた。その一角のソファー上で、笠原は目隠しをされたまま後ろから体を弄られる。隣のブースでは男女のカップルがソフトSMをお楽しみ中だ。あられもない声がそこかしこに漏れる乱れた場。いわゆるハプニングバーである。この感覚とスリルを味わいたくて、ここには「姿を変えて」来てしまう……。いや、正確には姿を「戻して」だ。 「はんっ、ぁ……あ」 「ふふ、君の肌は本当にキレイだね」  笠原は目隠しをされたまま、今日出会った二十は年上の男性に胸をいじられていた。一度帰宅して、ちょうど色の抜けていたカラーリングを落とし、黒のカラーコンタクトをとった笠原は「本来の姿」に戻っていた。  祖父の隔世遺伝で、実は金髪に青い瞳をしている笠原。説明が面倒なので普段は濃い目の茶髪に染め、黒のカラーコンタクトをしている。そして、髪の毛の染めが落ちるころ、定期的にここに来てはストレス解消をしているのだ。  元の自分に戻って、そして、性欲を存分にまで開放する。そういった刺激でストレス解消するようになって三年ほど経つだろうか。 「あっ、ぁ……そこ……いいです……っ」 「ここかな?」 「ぁんんっ!は、そこ、もっと……濡らして……くださぃっ……!」  Tシャツをまくられた其処に唾液を落とされ、胸の尖りを指で刺激されていく。その感触に敏感に反応し、後ろに入れてあるプラグをきゅうっと締め付けた。  いろんな規制上、本当はこのようなところで本番NGなのだが、ここのバーには奥にVIPラウンジ……まあ、そのまましけこめてしまう場所がある。基本的には別の客も見れる場所でいちゃつくのがルールだが、そのような過激な場所なので、このぐらいのプレイはそこらで行われていた。  カップルで来ても良いし、シングル同士はマッチング用のカウンターがある。そこで笠原は今の相手とマッチングした。相性が良くても悪くても後腐れがない。そういうのが今の笠原には心地よかった。  今日は店自体に客が少ないが、それでもさっきからいくつかの視線を感じる。目隠しをしたまま攻められ、知らぬ他人に視姦される感触に脳が蕩けていく。
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