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さえない男
僕は、長澤伸夫、30歳。
身長165cm、体重65Kg。小さな会社のネジ工場で働き、年収は平均より低く、仕事中は黙々と作業するため誰とも話さない。もちろんコミュ障。
今に始まった事ではない。
僕は、生まれてからずっとさえない男をやっている。
小学生の時から
ナヨナヨ、モジモジしていたため、
僕は明るく活発でやんちゃな男の子たちから舐められていた。
のび、のび太を捩って、
「おい、のぶ、のぶお。」と呼ばれていた。
遊び半分で蹴られようが殴られようが、
「やめろよー、痛いだろー。」
僕はそう言って、ヘラヘラ笑っていた。
中学生になっても、僕には反抗期がなかった。
しかしまわりのみんなには反抗期があったようで、明るく活発でやんちゃな反抗期真っ盛りの男の子たちから
「おい、のぶ、のぶお。」と制服の首根っこを捕まれ、よく体育館裏に連れて行かれた。
本気で殴られようが、蹴られようが
「やめろよー、痛いだろー。」
僕はそう言って、またヘラヘラ笑っていた。
高校生になると、みんな僕よりも、女の子たちに夢中なようだった。だから必然的に僕はひとりぼっちとなった。
そんな僕にも頻繁に話かけてくれる女の子たちがいた。
「長澤くん、今日掃除当番変わってくれる?」
「いいよ。」
僕はそう言って、ヘラヘラヘラヘラ笑っていた。
僕が30歳になった今でも夢中になっているオンラインゲームに出会ったのもその時期だった。
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