さえない男

1/1
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ

さえない男

僕は、長澤伸夫、30歳。 身長165cm、体重65Kg。小さな会社のネジ工場で働き、年収は平均より低く、仕事中は黙々と作業するため誰とも話さない。もちろんコミュ障。 今に始まった事ではない。 僕は、生まれてからずっとさえない男をやっている。 小学生の時から ナヨナヨ、モジモジしていたため、 僕は明るく活発でやんちゃな男の子たちから舐められていた。 のび、のび太を捩って、 「おい、のぶ、のぶお。」と呼ばれていた。 遊び半分で蹴られようが殴られようが、 「やめろよー、痛いだろー。」 僕はそう言って、ヘラヘラ笑っていた。 中学生になっても、僕には反抗期がなかった。 しかしまわりのみんなには反抗期があったようで、明るく活発でやんちゃな反抗期真っ盛りの男の子たちから 「おい、のぶ、のぶお。」と制服の首根っこを捕まれ、よく体育館裏に連れて行かれた。 本気で殴られようが、蹴られようが 「やめろよー、痛いだろー。」 僕はそう言って、またヘラヘラ笑っていた。 高校生になると、みんな僕よりも、女の子たちに夢中なようだった。だから必然的に僕はひとりぼっちとなった。 そんな僕にも頻繁に話かけてくれる女の子たちがいた。 「長澤くん、今日掃除当番変わってくれる?」 「いいよ。」 僕はそう言って、ヘラヘラヘラヘラ笑っていた。 僕が30歳になった今でも夢中になっているオンラインゲームに出会ったのもその時期だった。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!