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「で、で、どうなのどうなの? ラブラブしてる? ちゅっちゅしてる? ん? ほら、お姉さんに話なさいよ」
「お前はおじさんか」
「この際おじさんでもおばさんでも真相が聞けるならもうそれでいいからさ。教えてよ、聞かせてよ、共有してよ。わたしにもその甘みを分けてよ!」
志緒は椅子から立ち上がり一人でせわしなく動いていた。
「別に、そんなんじゃねーよ」
「恥ずかしがらなくてもいいじゃん。もったいぶるなよ。幸せおすそ分けしろよコンチクショー」
「コンチクショーって。いや、本当にそんなんじゃないんだって」
「……え、もしかして。あ、ごめん、わたし……」
「おい待て、お前何か勘違いしてるな?」
「もう倦怠期なんて。わたし、そんなつもりじゃ……」
およよと目元を拭うしぐさまでしている。それじゃ本当にそうみたいじゃねーかよ。
「そんなんじゃねーよ」
「じゃあどんなのなの?」
「どんなのって……」
「あ、ちなみにわたし、シミちゃんから色々聞いているから、そこんとこよろしくでどうぞ」
汐海、略してシミちゃんと呼ばれることを半ば諦めるかのように了承した汐海の顔が浮かぶ。しかめっ面だ。
「待て、どこまで聞いてる」
「それは弱史がどこまで話すかによって、おのずと答えがわかります」
「誰が弱史だ」
「手も握り返せない、弱々なチキン剛史、略してチキ史のことですが何か?」
「喧嘩打ってんのか」
「わたしとよりも、シミちゃんと喧嘩したほうがいいかもね」
大方のことは知られているのだろう。だが、それは同時に俺に対する不満を漏らしているのではないかと不安になる。志緒がいくら大学からの付き合いだといっても、いや、大学からの付き合いだからこそ悩みや不満を言えるのかもしれない。この話題だってそのために振ってきたのかもしれないし。
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