青を撃つ

1/1
前へ
/17ページ
次へ
『足跡ってのはさ、歩くより走るほうが深く残るんだ』  重たい頭の上で、声が聞こえる。 『なんでかわかるか?』  視線を上げると、眩しい青空と砂埃の中に彼の得意げな顔が浮かぶ。 『歩くより走るほうが、速いからだ』  くそっ。  幻に悪態を吐こうとして、乱れた呼吸が邪魔をする。 『速いほうが足跡は深く残るんだぜ』  ――知ってるよ、そんなこと。  
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加