雪の忌み日

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私は自分へのご褒美の意味を込めて穴場の温泉宿に泊まりに来ていました。 もちろんさして有名でもない山の中の小さな宿なのでお風呂も小さめでしたが、私が到着したころに降り出した雪が積もり始め、お風呂から見える雪の景色に仕事で疲れた心が洗われるようでした。 お風呂から出た私はせっかくの旅行なので、寝る前に普段は高価であまり飲まないお酒とおつまみでもやりたくなりました。 しかし、自分が泊っているのは田舎の小さな宿です、売店はなく自動販売機は恐ろしく高い価格設定でした。 そのとき、私は駅から宿に送迎されている途中にコンビニがあったのを思い出しました。 どうしてこんな田舎にコンビニがあるのかと思いましたが、送迎車の運転手さんが言うには近くに私立の大学が誘致されたので、その学生を狙ってできたようでした。 そう言われてよく眺めてみると、山奥なのに所々学生用と思われるアパートが建っているのが見えました。 そこで宿の人に断ってコンビニに出かけようとすると、雪が積もってるから危ないですよと引き留められました。 私はむしろ雪景色を眺めながらゆっくり歩いていきたいと思っていたので大丈夫ですよと答えたのですが、それでも宿の主人は何か煮え切らない態度で私を外に出したくないようでした。 「お客さん、おっぱいが大きいからひとりで夜道を歩いたら危ないですよ」 「わ、わたしの胸は関係ないでしょ」 思わぬセクハラ発言に閉口してしまいましたが、宿の主人は何かを隠しているような物言いでした。 「……わかりました、では気を付けて行ってきてください、もし何か不審なものを見かけたらすぐに逃げてくださいね」 私はこんな田舎に不審者なんかいないでしょと不可解に思いながら宿を出ました。
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