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友人Kは木造2階建ての、築40年くらいの格安アパートに住んでいます。
2階の右の角部屋にKが、1階の左の隅に60過ぎくらいの男性がすんでいるだけです。
ですので静けさがあり、ボロいアパートですが快適だと言っていました。
が、ここ最近、真夜中にドタドタと床を駆け回るような音が聞こえだしたそうです。つい先日にも午前2時過ぎくらいに、我慢を超えるレベルの足音が響いてきたので友人は業を煮やして、深夜はもう少し静かに歩いてくださいという文言を紙に書き、件の部屋へ向かいました。
「うそだろ・・・」
Kは愕然としました。その部屋の新聞受けにnot postingという緑色のテープが貼られていて、住人が引っ越したことを物語っていました。
(じゃああの足音はどこから!?)
自分の部屋に戻り、コーヒーでも飲んで気を落ち着かせようと薬缶に水を入れようとした時、バタバタドタドタという音が聞こえてきました。
「うわああああっ!」
薬缶を足元に落とし、両腕を体に巻き付けて部屋中を見回しました。
(このアパートにはもう自分しかいないのにどうして?)
突如、説明のつかない閃きが起こり、目線を上にあげました。
天井のくすんだ板に、濡れた足跡がペタペタと無数については消えるのをハッキリと目撃したのです。
「ぎゃーーー!」
友人は外に飛び出し、私の所へ避難してきた次第です。怖くてそのアパートにはもう住めないので新居が決まるまで居させて欲しいと頼んできました。
それはいいのですが、彼があの足跡の主たちを連れてきてないか、それだけが不安です・・・。
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