【3】僕のヒーロー (微妙な*)

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【3】僕のヒーロー (微妙な*)

 僕はちょっと人と違うらしい。見かけも中身も。とーちゃんは僕を天才だっていう。天才だからインターナショナル・スクールなんだって。 目の前のミニカーは一列に並べなければいけない。 マミーの顔は良くわからない。 マミーは怒る、泣く、叫ぶ、そんなのだ。 時々、どっちでもないとき、マミーのお友達が家に来る。 そして、僕は子供部屋に入れられて、猫とネズミが追いかけっこしてるDVDを見る。 今日はDVDが途中から始まって終わってしまったから、 ミルクを飲む時間だったから、キッチンへ行った。 僕の家は部屋がたくさんある。 誰もいないはずの部屋から音がする。 苦しそうな声がする。 ベッドで飛び跳ねて遊んでる音がする。 パチパチと叩いている音がする。 何だろうと思って少しだけ開けて見た。しばらく、そこで 「ふっふっ」 「あう、おう」と言いながら、うごめくものを見ていた。 「来てるー!(coming)」って、何か来るんだろう? おしっこがしたくなって、トイレに行った。 キッチンでミルクを飲んで、子供部屋に戻って毛布に包まった。 そんなことが続いていたある日、DVDじゃないTVがついていた。 敵討戦隊(てきとうせんたい)ナントカ・ナルンジャーだ! かっこいい! どうしても左端に目がいく。 かっこいい! どうしても緑色に目がいく。 かっこいい! ミドリンジャーがかっこいいんだ! ミドリンジャーは、なるせ みどり なんだよ! 知ってる? 僕は知ってるんだ! かっこいい! 食べたら、歯を磨くんだよ! うん、磨くよ! お外で遊ぶ時は車に気をつけるんだよ! うん、お外へ行かないよ! お友達と仲良く遊ぼうね! うん! 仲良くするよ! ナルンジャーの絵本を買ってもらった。 うれしい。 読んでくれる人がいない。 書いてあることが知りたい。 とーちゃんに絵本を見せたら、おもちゃ(タブレット)をくれた。 その中のアプリを動かすと字を教えてくれる。 字を覚えたら、ミドリンジャーのことがわかった。 すっごい! たのしい! ミドリンジャーはピアノもヴァイオリンも弾けるんだ。 そして、その音楽はみんなを優しい気持ちにするんだ。 僕のヒリヒリするところも、優しく治してくれるんだ。 僕のうちにもピアノがある。 ゴー!ゴーゴーゴー! てきとーうせんたーい ちゃんちゃん ナントーカ・ナ・ル・ンージャー 歌に合わせて、ピアノを弾く。 なかなか同じ音がでないけど、出るまで弾いた。何回も何回も弾いた。 とーちゃんにナルンジャー絵本のヴァイオリンを見せた。 何度も見せていたら、とーちゃんはヴァイオリンと教本と弾き方DVDをくれた。 毎日、それを見た。 毎日、それを練習した。 ゴー!ゴーゴーゴー! てきとーうせんたーい ちゃんちゃん ナントーカ・ナ・ル・ンージャー メロディを弾けるようになるんだ。 ミドリンジャーの曲を作りたい。 なるせ みどり に歌ってほしい! とーちゃんがシーケンサーというのを使ってるのを見た。あれを使えば曲が作れる!もっともっとかっこよくなってほしい。僕の曲を歌って! ある日、TVをつけたら、ナンジャ・モンジャーになってた。 違う!違う! 違う!違う!違う! それじゃない! また、とーちゃんに絵本を見せた。 何度もナルンジャーの絵本を見せた。 そしたらヴァイオリンの時と同じようにDVDをくれた。十二個あって、今まで見たナルンジャーが全部入ってる! 嬉しい!嬉しい!嬉しい! とーちゃんの写真が載ってる本に、なるせ みどり を見つけた! でも、漢字がいっぱいで読めない。タブレットの中に漢字アプリを見つけた。読みたいから漢字アプリが終わるまで全部やった。 成瀬翆(なるせ みどり)にはもう一つ名前があった。 杉野稔(すぎの みのり)だ。秘密を知って嬉しくなった。僕だけの秘密だ。 毎日がワクワクしていた。 誰かが、泣いてる、怒ってる。 だけど、僕はワクワクしてるんだ。 ある日、家が静かだった。 それからとーちゃんが家にいる日が多くなった。 とーちゃんはおサケを飲む。 とーちゃんのお友達とおサケを飲む。 うちにくるマミーのお友達も とーちゃんのお友達も いつも一人で男だ。 ある時、とーちゃんとお友達がおサケを飲んで仲良くしてた。 笑いながら、お口とお口をくっけてた。 「ちゅうしよ」って言いながら、お口をパクパクしてた。 僕は絵本の中の成瀬翆(なるせ みどり)に 「ちゅうしよ」って言いながらお口にお口をくっつけた。 そしたら、胸のなかがほんわかした。 夜になると、成瀬翆(なるせ みどり) に「ちゅう」をする。 今日は、ミドリンジャーに「ちゅう」をしよう。 明日は、杉野稔(すぎの みのり)に「ちゅう」するんだ。 お友達とは仲良くするんだ! うん、してるよ! とーちゃんが違うお友達を連れてきた。お風呂から楽しそうな声がした。 もっと仲良くしたいんだ。 どうしたら、いいんだろう。 とーちゃんの部屋を覗いたらベッドの中で、裸同士でくすぐってた。 手で背中やお尻を撫で撫でしてる、でも、それより「ちゅう」で撫で撫でする方がくすぐったいみたいだ。 僕は他の人はいらない。 お友達は一人でいい。 なるせ みどり ううん、杉野稔(みのり)、みのりんだけでいいんだ。 古びて色あせた絵本をベッドにおいて(みどり)を見ながら、僕はうつむいてベッドに寝転ぶ。腰をベッドに押し付けて、揺らすと気持ちがいい。 絵本の中の(みどり)に「ちゅう」をしながら、ベッドに擦り付けて、へこへこ腰を振る。 あ、んっ…みどり、んっんっ…ちゅうだ、ちゅうしよ? はぁ…ふぅ…んっうん興奮してきた、もっと、もっと、強く……。 仰向けでベッドに寝転び、絵本を顔に乗せて みのりんに「ちゅう」をする。 右手で本を支えて 利き手の左手をスエットズボンの中に入れる。 熱く、硬く、大きくなった欲望を左手で包み、擦る。 先っちょがピリピリと気持ちいい。 輪っかを作って緩急つけてコシコシ扱く。 そして、時々思い出したかのように二つの膨らみを触る。 その間の筋を爪を立ててカリカリっと引っ掻くように撫でて、そのまま欲望の裏まで手を動かす。親指と薬指で輪っかを作って、引っかかるところを上手く引っ掛けながら上下させる。 んっんん、ふぅ、はぁ、 残された人差し指で天辺(てっぺん)の割れ目をイジる。 はぁはぁ 気持ちいい… みのりみのり…みのりん、くちゅくちゅいやらしい音がするよ。 はぁはぁ 気持ちいい…もっと高く、高く……一緒に みのりんが僕と同じように気持ちよくなって はぁはぁいってる 僕と同じように気持ちがいいの? 「うん、気持ちいいよ、あぁ…んっん」 脳内でみのりんの声が生成される。 ふぅっうう、ん、んんっん… はぁはぁ はぁはぁ そんなことを三回ぐらい繰り返してしてしまう。 疲れた身体を投げ出して、力が抜けていく、呼吸を整えながら、しばらくぼーっとする。 六年生の時に八年生のビッチに襲われて大人がすることをやっちゃった。 でも、こんなに気持ちよくなんてなかった。 みんなしてるのよ、なんて言ってたけど、みのりんはしない。 みのりんが他の人とするなんて、我慢できない。 上手にやらないと、痛いだけなんだから、なんて言ってたけど、みのりんにそんな痛いことなんかしない。僕と同じように仲良く気持ちよくなるんだ。 とーちゃんの隠し場所は知ってたから、いないときに探してみた。 そしたら色々なお道具と一緒にDVDが何枚も出てきた。女が相手のものも多かったけど、男同士のものもあった。これでみのりんと二人だけの秘密ができるのかとを思うとそれだけで興奮した。 あぁ、みのりん、待ってて…… もうすぐ会えるんだよ! 一緒に仲良く、気持ちよく……なろう… ****** 最後まで拙い作品にお付き合い頂き、ありがとうございました! 相手がノンケであることを全く想像していない幸せーな状態ですので、これもハッピーエンドかな、と^^;  続きを読んでみたいぞ、と思っていただけるとちょっと嬉しい♪( ´θ`)ノ 多分、続きを書くと璃音くんが一途な気持ちから、ズコーンといろいろやらかし⇨必ず璃音くんは幸せになると思います。お相手は・・・多分幸せだと思う。 また、めんどくさがりやのゲスいとーちゃんは後腐れのない相手しか自宅に連れ込みません。女は自分居場所を作りたがり、その痕跡を残したがるのを知ってるからです。音楽仲間は男女問わず、地下のスタジオによく来てるんですけどね。璃音くんの目には入らないみたいです。 コメントや感想はあまりいただいたことがないので、いただけたらきっと飛び上がって喜びますヽ(´o`;
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