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第三話 五丈原の戦いと諸葛亮の死
二三四年、諸葛亮は、李厳の裏切り、国力の減退、北伐時兵糧不足に悩まされたことから、三年間、兵糧の蓄積に専念し、内政に勤め国を豊かにすることに力を入れた。諸葛亮は、急いでいた。それも、自らの体調が酷く悪くなっていることに気づいたこともあった。
春二月、第五次北伐を行うため、それぞれ、準備をしていた。諸葛亮は、この度、呉と共同戦線を布くため、費緯を呉に派遣した。費緯は、孫権を説き伏せ、呉は合肥を攻める事となった。
費緯は、諸葛亮に謁見し、呉との共同で魏を攻める事に成功したことを話した。その上で、孫権が、
「蜀の武に誇る武将は、魏延しかおらぬが、奴も自分勝手で諸葛亮の居なくなった場合、謀反を起こす可能性があると思う」
と、言ったことを話した。諸葛亮は、
「さすがは呉の孫権。よく知っているな」
と、呟き、楊儀と費緯、姜維の側近にだけ自分の死期が近づいていることを打ち明け、魏延は、自分の死後、必ず裏切りを果たすため策を講じる必要があると話した。
「楊儀、私が死んだら、軍権は其方がすぐに引き継げ」
「御意、しかしながら、魏延は、某の事をよく思っておらず、反発するでしょう」
「わかっている。反旗を翻した時、その時魏延の最後の日だ」
身体の無理を推し、諸葛亮は魏への遠征を再開し、蜀軍は十余万動員し褒斜道を通り、長安を目指す構えを見せた。
司馬懿は、蜀軍を迎え撃つために、自ら指揮を執り、郭淮、孫礼、徐質等の精鋭を引き連れ出撃し、渭水の南の防備を固めた。曹叡は、砦の防備を固め、守備に徹すること、敵の食料が尽き撤退時に追撃し、敵を迎え撃って勝利を勝ち取れ、と司馬懿に勅令を下し、司馬懿は従った。
「諸葛亮が五丈原に布陣するなら、我が軍は問題なく蜀軍を防げる」
司馬懿は、そう言って、勝利を確信していた。長子の司馬師は、
「父上、この度の戦、諸葛亮に勝てると自信がありそうですね」
「そうだ。昨日、天の星が落ちるのを見たのだ。昔から、天文など信じなかったが、この度は確信している」
司馬懿は、そう言って軍備に取り掛かった。
廖化は、軍備を整えながら、諸葛亮の体調が悪いことが気にかかっていた。仕事も今までより多くこなし、北伐へ臨もうとしている。この度から、張翼を先鋒の前軍都督と役職を与え、扶風太守に任命し、北伐へと参加させていた。張翼と、陣営で顔を合わせ、
「張翼殿、先鋒を仰せつかわれたそうで」
「廖化殿、我等が司馬懿の攻撃を防ぐ盾となる。頑張ろう」
お互い、手を取り合った。廖化は、部下の熊、曜、馬泰、甘櫰を呼び、これが重要な戦となることを話した。
「部下達よ、これがもしかしたら、最後の北伐となるかもしれない」
熊は頷いて、
「おおよ、この数十年、あんたに付いてきて有終の美を飾ってやるつもりだ」
隣で、曜は、
「我が弓を、司馬懿にぶち込んでやるぞ」
「某は、勝利を、兄弟に。そして、弟馬謖の雪辱を果たす」
馬泰も、力を込めていった。甘櫰は、
「呉から来たかいがあったぜ。父甘寧も、こんな大きな戦に参加できて喜んでいるだろうよ」
と笑った。廖化は、皆の手を取り、言った。
「皆と、これまで共に戦えたことを感謝する」
その後、まもなく蜀軍は北伐へと出兵した。常套策で、諸葛亮は、祁山を占領し、そこを涼州と長安の中継地点として分断させた。涼州からは、羌族より騎馬を手に入れ、戦に備えた。
廖化は祁山にいた。廖化部隊は、土地の開墾をしていた。
「この度は、祁山周辺の平地を開墾し、屯田策を討ち長期戦に備える計画だ」
「だから、木を切り、開墾を始めたってわけな」
熊が、力任せに木を斬った。曜と馬泰は、馬を使い、土地を耕す作業をしていた。
廖化は馬泰に、
「それと、丞相は兵糧を魏軍から騙し取り、兵糧を上方谷に隠していると。巍延殿と王平殿に守らせているそうだ」
上方谷の兵糧は、魏から奪ったが、ある計画の物だった。司馬懿は、兵糧を奪われたことに怒りを覚え、奪い返そうとしていた。密偵を使い、上方谷に兵糧を隠したことを見つけ、取り戻しに策を練った。
諸葛亮は、高翔に命じ、上方谷の兵糧には、油と爆薬を仕込ませた。司馬懿は、郭淮と孫礼に本陣を攻撃させ、自分と息子たちで上方谷に侵入しようとした。
蜀本陣と魏郭淮等の戦が始まり、廖化は、開墾作業を止め、魏兵と対峙するため、出兵した。
「敵は郭淮等。これは、毎度戦いにくい相手であるから、用心して損失は少なくいくぞ」
「御意」
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