おバカな私

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おバカな私

「佐々木君って、結構、イイ感じだよね」 教室の窓から校庭のグランドを見ていた(つぼみ)が呟いた。 蕾のキレイに手入れされた髪が風に揺れる。 ウチは中高一貫だから、時間帯で中学生だけがグランドを使える時間が決められている。 サッカー部がいつものように練習していた。 。。。。イヤな予感がしていた。 「(れい)って佐々木君と仲いいよね」 「小学校、一緒だったから」 イヤな予感は確信に変わりつつある。 鼓動が速くなるのを自覚した。 「だったら聞いてみてよ。私のこと、どう思ってるか?私が付き合いたいって言ってるって」 やっぱり。。。だよね。 「そうゆうのはダイレクトに言ったほうがいいんじゃない?」 微かな抵抗を試みる。 「だって、連絡先とか交換してないし」 「直接言った方がインパクトあるし」 「この私がそこまでする訳ないじゃん?」 そうだよね、いつだって(つぼみ)は、男子から告らせてきた。そうするように仕向けてきた。 もしくは、周りの人間を上手く使って、想いを伝えさせようとする。 自分から直接、動くことはしない。 もし、想いが遂げられなかったら、勝手に自分の気持ちを伝えた子の勘違いだということにすればいいだけの話だし。 及川 蕾は私の中学時代のただ一人の女友達で、だから彼女を失うことは私にはどうしても出来なかった。 「澪、お願い出来るよね?」 断ることなんて、今の私に出来るはずなんてない。 最初から選択肢なんか無いんだから。 「。。。。聞くだけなら聞いてみるけど」 そう、私の負けだ。最初から勝負なんてついていた。 勝負でさえないのだから。 「ありがとう、さすが私の親友」 男の子が喜びそうな可愛らしい笑顔を私に向けてくる。 そんなこと、爪の先ほどだって思っていないくせに。 バカだなって分かってる。ホント、バカだなって。。。 結局、蕾の思惑通り、私は引き受けることになった。 私の初恋が霧消した瞬間。 それでも目と口角に力を入れて、笑顔をはりつける。 そんな自分が私は一番嫌いだ。
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