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銀正男
元警察庁祓魔課の惜別 黒い霧に霞む銀鬼編
今は賑やかな、子供の頃に歩いた渋谷の町並みを、音楽クリエイター銀正男、芸名鬼哭啾啾は歩いていた。
そう言えば、正男って誰かとかに言われるとムカッと来るのは何でだろうな?
ああ解った。ジョンナムって言われたからだよ。
ニセパスポートとか夢の国の住人とか言われたんだ。ワンピース着た女装ガキに。
成長し、後にジョンナムが誰か解り、VXガスで暗殺されたことを知った。
そう言えば何であいつ80年代半ばにVXガスを食らえジョンナムっつって襲いかかってきたんだ。
先見の明にもほどがあるイタズラに遭った嫌な思い出だったんだよなあ。
ホントにVXガスだったらどうするんだ死ぬだろうがあの馬鹿は。
んーんー。んーんー。
妙な鼻唄を歌いながら、今は霊災と言う概念がない東京を歩く正男の胸には、音楽が鳴り続いていた。
これは、地上最強の銀鬼と感染症と幼なじみと神と言う話。
ついでに、世紀の名曲が誕生すると言う話。
まだ正男は売れない音楽クリエイターにすぎず、冥王ハデスもおっさんの内側で大人しくしていた頃の、少し切ない惜別の話だった。
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