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「私は全部受け止めるよ。自分の気持ちも、あなたの気持ちも。例えそれがどんなに苦しくても 、私はそうしてあなたと前に進みたいから、、、」
嫁はあの日と同じように子どものように泣きじゃくりながら言葉を紡いだ。
優しくて温かい、それはまるで木漏れ日のような言葉だ。俺の心を照らす光だ。
心と体が同時に動いた。とても自然に、感情のままに。
俺は苦しくなるぐらいにキツく嫁を抱きしめた。俺の思いを届けるために。
「ごめん、、、俺のせいでお前にそんな事させた、、、お前はそんな奴じゃないのに、、、もう何も言うな、、、俺だって同じ気持ちだよ。俺のお前への気持ちはずっと昔から変わってないし今も変わらない。だから一緒にいよう。」
そうだ。これこそが嘘が無い本当の言葉だ。誠意が無い言葉でも、自分自身を納得させる為でも無い本当の言葉だ。
ああ、ここまで来てようやく2人の感情が交わり、重なった。
たくさんの感情が合わさってできたその感情には名前なんて付けられないけれど、そこには2人の確かな思いがあって、それは何よりも大切なこの場所へと繋がる感情だ。
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