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2.
僕は小学生の頃から、命や心を蔑ろにする人間が嫌いだった。
学校の勉強は嫌いではなかったけれど、集団行動の強制には納得がいかなかった。反抗心で、授業中に隙を見ては教室から逃げ出した。
一部の先生は言うことを聞かないと怒鳴り散らした。時には、同級生のいたずらまでの自分のせいと決め付けられて怒られた。
どうせ、僕の気持ちなんか――。
友達もいないまま、次第にふさぎ込んでいった。
進級して迎えた、2年生の春。
僕はついに、校長室に呼び出された。
「授業に出ない君に、罰を与えることにする」
上履きのまま、中庭へと連れ出された。
叩かれるのか。正座させられるのか。そんなことを想像して、顔がぐしゃぐしゃになった。校長先生はどうしてか微笑んでいた。
中庭はそんな僕の不安をよそに、鮮やかな光景で出迎えてくれた。 ペチュニアにサルビア、マリーゴールド、ニチニチソウ――。可憐な花々がそよ風に撫でられ、揺れていた。
校長先生に指示されたのは、意外な内容だった。
「しばらくの間、この子たちのお世話をしてやってくれないか」
少し屈んだ校長先生は僕の顔を覗き込み、にっこりと笑った。
「樹くん。私はね、君はやればできる子だって、分かっているよ」
その言葉は不思議な温かさを帯びていた。
乾いた心に、じわじわと水と養分が染みわたる。
僕は毎日、朝夕の水やりに取り組もうと決めた。
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