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――は?足跡?
意味が分からず混乱する僕に、じっちゃは思いがけない助言をくれた。
「おめの畑、足跡は深いか? 浅いか? 次に作業した時でいい。ちゃんと見でみれ」
「分がった。でも、何で?」
「まんず、いいがら。全ての基本は『土の呼吸』だ。花の前に、土を育てる、畑を育てる。そうすれば、仕事が変わるもんだ。嘘だと思って、まず見でみれ」
僕は半信半疑のまま、午後の畑に足を運んだ。
じっちゃの言う通り、僕は畑で後ろを振り返り、土の上に残った自分の足跡を眺めた。何てことはない、ただの足跡だ。
次に、しゃがみ込んだ。目線を落とし、横から覗き込んでみる。いや、やっぱりただの足跡。気になることは何も――。
「あれ」
一人、思わず声が出た。
もしかして、もしかして。
僕は足りない頭を振り絞り、この発見の意味を考えようとした。
同じゴム靴で、同じ速さで、同じ歩幅で歩いてきた。
それなのに、場所によって、足跡の深さが違う。足音が違う。水溜まりの量が違う。それはつまり――。
「水か――?」
土は生き物だ。水はけは畝によって違う。だからもし、それを生かしてコントロールできたら!
胸が躍った。
じっちゃが教えてくれた「土の呼吸」――それは土の息遣いを見極める、大地の奥義。
しばらく興奮が収まらず、砂場で遊ぶ子どものように土いじりに夢中になった。
そうして僕は、仕事を効率化するヒントを見つけた。
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