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希望の掛橋
イラスト/りうじ様
https://estar.jp/users/144963966
公開日:2021/3/20
コツコツと足音が響く地下通路。
とある世界のとある国には、壁面にアートと称して、カラースプレーでイラストやロゴが描かれていた。
本来なら明かりが限られているため、昼間でも不気味な雰囲気を醸し出しているが、ほんの数ヵ月前までは人気が有り。暇をもて余した若者達が思い思いに騒いでいたものだ。
それがコロナウイルスという、未知なる感染病が流行したことで、都市封鎖を余儀なくされた此の国は、日中でも人影がなくなった。
自由に楽しくをモットーとした若者達も、
死を意識すると怖くて堪らないようだ。
しかし、今地下通路を歩く人物は違った。
怖いもの知らずと言えば聞こえが悪いが、
考えも無しに外出している訳では無い。
街中を見回る警察官の眼を盗みながら、
馴染みの場所を歩いて回り。
数ヵ月前の当たり前を失った今を目にした結果、何をすべきか考えてのことである。
「ねぇ、次はどんな世界を見せてくれるの?」
その者は、誰の姿も無い地下通路の中央付近で足を止めると、誰となく問いかけた。
すると、当然ながら返答は無し。賑やかな頃には気もしなかった微かな物音だけが響いて、問いかけた者は余計な力を抜くように息を吐くとステップを踏み始める。
人目を避けて来たとは思わぬ大胆な動きで、深々と被っていたフードを乱しながら逆三角形の陣を構成していくのだ。
ーーわたしは此処にいるよーー
誰かにその存在を知らしめるように、
彼女は足音そのものを音楽にして舞う。
観客はまだいない。
それでも彼女は躍り続ける。
残念ながら彼女独りだけでは、
調和と統合の魔法陣は完成しない。
だからパートナーを喚んでいるのだ。
ーー全力を賭けてーー
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『絵師がみたいシーンを絵にしたら
物書きさんがSSをつけてくれる』
りうじさんからの決め手フレーズ
「ねぇ、次はどんな世界を見せてくれるの?」
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本投稿はこちら↓↓
https://estar.jp/pictures/25798034
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