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あの風の向こう側に
イラスト/匣さま
https://estar.jp/users/260929185
公開日:2021/5/17
乾季の終わりを告げるように、
春風と共に飛来する白貴鳥。
乾いた大地には若葉が芽吹き、
数多のレジェンド・ライダーを育成した
皇立ドラゴン・ライダーのキャンプ場では、
高らかに角笛が響き渡る。
「これより昇格試験を始める!!」
壇上の最高司令官が力強く宣言すると、
険しい表情で敬礼を行う候補生達。
彼等は、まだ何処の隊にも所属しておらず。
これから受ける昇格試験で、
所属する分野と隊が決まる身である。
武器に見立てた得物を持ち、
名を呼ばれた順にドラゴンへ股がると、
助走無しで飛び立ち。
指定された目標を確認して、
渾身の一撃で的を壊す。
至極単純な試験内容だが、
ドラゴンとの息を合わせながら、
風を味方に付けるのは至難の技だ。
しかも群を成す白貴鳥に
進路妨害をされ、体勢の立て直せぬまま、
失格になるケースも少なくない。
「よろしく頼むぞ」
試験に挑む前に、長かった髪を刈り上げ。
一際強い想いを抱いて試験に挑む彼女は、
相方のドラゴンに話しかけて鼻筋を撫でた。
すると、鼻息で応えたドラゴンは、
彼女を乗せて難なく空へと舞い上がる。
「王者の風格だな」
彼女の経緯を知る者は、
再びライダーと共に生きる事を選んだ
ドラゴンを褒め称えた。
プライドが高く、繊細で。
一途な性格のドラゴンである程、
主を失ってしまうと野良になることが多く。
人より寿命があるからといって、
代々乗り継げるモノではないのだがーー。
「風が良い! 稼いだ高度を一気に速度に変えられそうだ!」
早速目標を見定めた彼女に合わせて、
経験を培ってきたドラゴンが旋回し、
その身をもって軌跡を体現する。
ーーもう振り返らない!ーー
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『絵師がみたいシーンを絵にしたら
物書きさんがSSをつけてくれる』
匣さんからの決め手フレーズ
「風が良い!稼いだ高度を一気に速度に変えられそうだ!」
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本投稿はこちら↓↓
https://estar.jp/pictures/25824570
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