夢か現か

4/5
前へ
/19ページ
次へ
 再度座り直した彼が、私の瞳を覗き込んだ。 「ある時は教室の窓から。ある時は校庭の片隅から。そんである時は廊下の窓から」 「……っ」  気付いてたの? 「なに、それ……」  そんなのまるで。私がストーカーみたい。  居た堪れなさにフイと目を逸らすが、真柴くんは変わらない声の調子で話を続けた。 「同じ教室にいる時はほとんど感じた事がなかったけど。サッカーをしてる時だけは、水瀬の視線にいつも励まされてた」 「……え」 「嬉しかったんだ」  そう言って彼は真剣な目で、また私の瞳を見つめた。 「俺は水瀬の事が」 「ちょっと待って!」  私は手を伸ばし、彼の言葉を遮った。 「こんなの都合が良すぎるよ」 「こんなのって……?」 「だから、いきなり両思いになるなんて……、流れが」  言ってからハッとする。  恥ずかしさで慌てて口を噤むが、真柴くんはキョトンとした後、クシャッと顔を崩し、声を上げて笑った。 「好きなんだ、水瀬が」 「……っ」 「目が覚めたら必ず()おうって決めてた」
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加