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瑛太とその家族との同居が始まって、早一週間が経過していた。快く受け入れてくれた彼や彼の両親には頭が上がらない。
現在、俺は瑛太と共に登校中。瑛太のお兄さんである光輝さんの制服は少し色褪せているものの俺に不思議なくらいフィットした。
「なぁ、瑛太」
瑛太は先を歩いていたが、俺の声に振り返りこちらを向いた。
「どうした?」
「───犯人探し、自分でもしてみようと思うんだ」
俺はここ最近ずっと思っていたことを口に出す。
あれ以来、警察からも山田さんからも音沙汰はない。
何も捜査が進展していないのか、はたまた、俺には教えられない情報なのか。
俺の言葉に、瑛太は少し驚いていたように見えた。しかし、そのあと笑顔になり、
「いいんじゃないか? 黙って警察を待つだけだなんて嫌だもんな。……ただ、絶対に危ないことはすんなよ?」
と注意喚起をしつつも賛同してくれた。
「そんなことするはずないに決まってるだろ?それに、瑛太にこの事を言ったのは、知恵を貸して欲しいときは頼むって話がしたかっただけだし」
「……お前、俺の成績知ってるよな? そういうこと言う?」
「違うって! ほらさ、お前、悪知恵だけは働くじゃんか!」
「それ、ぜってぇ褒めてねぇ!」
「……まぁな」
「おい! そこは否定しろよ!」
そんなことを言って笑い合った。
「とりあえず、急ごうぜ! 補習遅れちまう」
俺は親友の言葉に、あぁ、と頷き走り出した。
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