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「もー、土方さん。奈々さん震えてるじゃないですか。女性にはもっと優しくしてあげないと」
「俺は高杉の女に優しくする趣味はねえ」
「え、高杉の女ってどういうことですか?」
そっぽを向く土方さんを沖田さんが責めただす。
「どーもこーもねーよ。巡察で高杉といた女を捕まえたんだ。生憎と高杉には逃げられちまったが、こいつを尋問すれば、」
「なに言ってんですか。奈々さんは高杉の女じゃないですよ」
とりあえず高杉さんが逃げ延びられたらしいことに安心する。
「あ゛?お前、根拠あんのか?」
「だって、奈々さんは梅太郎さんって言う旦那さん居ますし、子供もいますよ」
「おい、女。どういうことだ。」
凄む土方さんに平気で話せる沖田さん凄すぎる、と感心していると土方さんが急に話を私に振ってきた。
「どうもこうもそのままの意味ですけど。あのお侍さんとは甘味屋で相席しただけの仲って最初からいってるじゃないですか」
イラっとしてちょっとけんか腰で言うと、
「そうか、悪かったな」
土方さんは途端に柔らかくなって、気まずそうに頭をごしごし掻いて謝ってくる。
「いや、大丈夫です。もう帰っていいですか?」
「いや、だめだ。泊っていけ。夜は危ないからな。」
疲れて早く家に帰りたいので申し出たけれど何故か断られてしまった。
「いやいや。奈々さん帰りたいですよね?僕送っていきますよ。」
いつしか言った私が新選組が嫌いだという言葉を覚えてくれたみたいで沖田さんが必死に私を返そうとする。
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