お花見

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お花見

シーズン真っ只中の満開の桜はとても綺麗だった。 現代ほどではないけれど、江戸時代でもたくさんの人でにぎわっている。 「お母さん、お団子もう一個」 「はいはい」 折角お花見に来たのに花より団子なところはしっかり私の遺伝子を継いだんだなあと思いながら龍之助にお団子を渡し、ついでに自分の分も取ると、横から龍馬のお団子を取る手も伸びてきて笑ってしまった。 「幸せだなぁ」 「幸せだ」 「ふふっ」 「ふっ」 龍馬と同時に呟き、お互い目を合わせて笑いあう。 でも幸せなのはつかぬ間のことだった。 「おい、総司そっちじゃねえ」 「こっちの方が桜がきれいですよー」 「はあ、分かったから走るな。そっちの三馬鹿もふらふらしてんじゃねーよ」 「「「誰が馬鹿だって?」」」 「お前らだよ」 騒々しい音につられて10人ほどのむっさい男達が現れた。 言わずもがな、お花見に来たのだろう。 問題はそこに藤堂平助がいることだ。 しかも龍之助は沖田さんを見つけたのか、話しかけたそうにうずうずしている。
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