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  ×  ×  ×   作業台に、リトマス紙(青)を貼った真   鈴のアジサイの絵。   側に『酢酸』と書かれたスプレー容器。   真剣な眼差しで絵を見つめる真鈴。   生徒達が真鈴の後ろで見ている。   真鈴、スプレーを手に取り、噴霧する。   と、アジサイの花の絵の一部が赤色に変   化する。   T・『酢酸 酸性』   驚いている生徒達。   歩が、真鈴の後ろ姿を嬉しそうに見てい   る。 ㊱紫陽小学校・教室   社会の授業。黒板に『裁判所の仕組み』   が板書されている。   教壇に立つ酸川。 酸川「授業はここまでです。が、少しやって  みたいことがあります。昨日、皆さんにア  ジサイの絵を描いてもらいましたね」   酸川が真鈴を見つめる。 酸川「先生達の間では、桐戸さんの絵のアイ  デアが面白く、コンクールに出そうと考え  ています」   真鈴が、驚いた表情で見つめている。 酸川「ですが、リトマス紙を貼った作品が絵  として相応しいのか、という意見もありま  した。そこで」   酸川が投票箱と書かれた金属の箱を台の   上に置く。 酸川「最後は皆さんの投票で決めたいと思い  ます」   酸川、青色と白色の二枚のカードを見せ   る。 酸川「桐戸さんの作品をコンクールに出すこ  とに賛成の人は青票を、反対の人は白票を  投じてください。過半数の賛成があれば、  コンクールに出します。投票の仕方は、先  日の授業で習いましたよね。(歩を呼び)
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